受験戦略(合格戦略)
受験マネジメント
受験戦略(合格戦略)
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効果:日々、塾の宿題や復習がたまっていく状況に終止符が打てる
模試や過去問の対策に時間をかけられるようになる
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受験を考えている方の多くが、おおよその志望校を決めていると思います。
そして、ある程度の時期が来れば、赤本のような過去問題集を購入されるでしょう。
(理想は、「志望校が決まった瞬間に赤本を買う」です。)
そして、赤本を開いてざっくりと、どんな問題が出ているか確認したでしょう。
少し進んでいる人では、傾向と対策を読まれたかもしれません。
また、意識が高く、買ってすぐに1年分解いたという方もいるでしょう。
その分析は確実に合格に近づく行為です。
ところで、その分析は日々の学習に直結していますか?
多くの場合、塾に言われるままに課題をこなしているのではないでしょうか。
そして、次のような状況に陥っている子どもは多いです。
・日々の塾の宿題で手いっぱい。復習までは無理。
・模試の対策に手が回らない。過去の模試のやり直しができていない。
・そろそろ過去問をやりたい。でも、時間が取れない。
・熱血で好きな先生。でもたくさん宿題を出すのでその科目ばかりに時間を取られる。
本来、受験勉強において、勉強の仕方(特に今どの科目・単元に力をかけるべきか)は、100人いれば100通りあります。
しかし、塾で100通りの授業をし、100通りの宿題の出し方をし、100通りの模試を実施してくれることは望めません。
(そうしないところが塾のいいところでもあります。塾(他の生徒)の進度に遅れないように一生懸命勉強することは、大変有益です。)
一方で、それだけでは、苦手単元・科目が放置されたままになったり、もう合格水準に達している単元・科目に時間をかけすぎてしまったりしてしまいます。
(どの科目・単元を今やるべきなのかを明らかにするメソッド、
サブジェクトポートフォリオマネジメントはこちら)
そこで、プロ若しくは親御さんによるマネジメントが必要になります。
そしてその方法が、受験戦略を策定し、実行することです。
それぞれの志望校を分析し、一人ひとりの最高の受験戦略を立てることが本日の狙いです。
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そもそも戦略とはなにか
戦略と区別しなければならないものが、戦術です。
日本で初めて戦略と戦術を明確に区別したのは、司馬遼太郎の小説『花神』の主人公でもある、大村益次郎(村田蔵六)と言われています。
幕末の長州軍を指揮した大村益次郎は、
strategy(戦略)を総帥の術、tactics(戦術)を戦闘の術と訳し、
長州軍の指揮命令系統に組み込んでいました。
大まかな説明にとどめますが、
strategy(戦略)は、全体を捉えて戦を勝利に導く術です。
tactics(戦術)は、局地・各場面において兵を動かし勝利を収める術です。
そして、strategyなしには最終的な勝利はないと言われます。
花神には次のような言葉があります
「タクチーキ(戦術)のみを知ってストラトギー(戦略)を知らざる者は、
ついに国家をあやまつ」
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前回も申し上げましたが、受験は戦とは違います。
もっと誇り高く、楽しいものです。
しかし、その方法論を学ぶことは、受験において最後の合格を掴むのに大変有益です。
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そこで、私たちの受験戦略のために、
まずは、受験戦略と受験戦術を区別します。
受験戦術の代表例が、各問題の解き方です。
算数のある1問をそのように正解に持って行くか。
これはまさに戦術です。
そして、この受験戦術のプロが塾の先生です。
各問題の解き方は、基本的に塾の先生から学ぶことができます。
一方で、受験戦略はただ塾に行っているだけでは得られません。
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その、受験戦略。
具体的なものではありませんが、その要素を1枚にまとめたものを例示します。
このような一番おおきな受験全体戦略に加えて、
例えば、夏休みの戦略・直前期の戦略などもう1段階細かいものを作成する必要もあります。
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その効果は
・確かにこれで合格に向かっていくのだと自信・手ごたえを持ちながら1つ1つの勉強に臨める。
・いつでも自分の目標・動機が見えるので、モチベーション管理に役立つ。
さらに、
・受験戦略があるので、その戦略に基づき、“戦略的に”宿題をやらないという判断もできる。
(戦略がなければただのさぼりです。)
そしてその時間を別の今やるべき科目・単元に向けられます
などが考えられます。
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最後に、この受験戦略はだれが作ってくれるのか。
まず、塾にチューターがいる場合もあるでしょう。
熱心なチューターの場合、ほんとうに一人ひとりの現状を踏まえて作成して下さると思います。
(私は、大学受験の時、河合塾のチューターに本当に助けてもらいました。)
ただし、塾の本質として、チューターと先生(講師)、立場が上なのは先生でしょう。
例えば、思い切って、「理科の宿題はやらなくていい」と言ってくれるようなチューターと出会えたなら、
その人を信じてついていくこともできそうです。
また、教育には愛が必要です(なにを突然という感じもしますが)。
下剋上受験で阿部サダオさんが言っていましたね。
「かおりを愛していたからだ」
「娘を愛しているからです」
チューターが担当する人数は相当なものです。どこまで愛をもって見てくれるかは高望みできません。
そう考えると、親御さんが作成されるのは、効果的であると思います。
また、プロの手助けが必要であれば、郷原行政書士事務所のHPよりお問い合わせください。
郷原行政書士事務所では、最大でも5人までしか担当しません。
そして、一人ひとりに深くかかわった指導・マネジメントをします。
サブジェクトポートフォリオマネジメント
受験マネジメント
サブジェクトポートフォリオマネジメント(SPM)
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効果:合格のために、今やるべきこと・やってはいけないことが見える
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塾に言われるまま、本人の思うままに勉強していると
この夏は、得意科目を伸ばして一気に合格圏へ!
時間のある夏こそ、苦手科目を克服しよう!…って、結局全部?
算数は楽しいからやるけど、
社会は暗記科目でおもんないから、嫌や!
ほんとうによくある話です。
そこで、プロ若しくは親御さんによる受験マネジメントが大切になります。
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サブジェクトポートフォリオマネジメント(SPM)とは
現在の実力(対合格水準)を横軸にとり、合格戦略上の必要度を縦軸にとり、
4つのグループを作ります。
・若手:必要度が高いが、現在の実力が不十分
・エース:必要度が高く、現在の実力は十分
・ベテラン:必要度は低いが、現在の実力は十分
・控え:現在の実力は不十分だが、必要度も低い
そして、自分の現状をこの図の中に書き込みます。
例えば、科目について具体例を書き込みます。
算数・理科で稼いで、国語は最低限の得点で合格する戦略の子で例示すると、
算数:必要度が高いが、現在の実力が不十分
理科:必要度が高く、現在の実力は十分
国語:現在の実力は不十分だが、必要度も低い
とした場合、サブジェクトポートフォリオマネジメントは、
のようになります。
また、同じような分析が、
分野(例えば、生物・地学・物理・化学)や、
単元(例えば、動物・植物・人体)についても行えます。
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では実際にどう分析し、どう活かすか
一言でいうと、
「ベテラン」にかける資源を、「エース」や「若手」に回す
です。
ここでいう資源とは、リソースのことで、
本人のエネルギー、時間、親、教材、塾、家庭教師、お金、など
受験に必要な要素をいいます。
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例えば、
社会が得意で好きな子。
しかし、入試での配点は、算数150国語150理科50社会50。
こう考えると、社会はベテランに位置します。
そして、算数があと一歩必要だ(若手とエースの間)。
ほっておくと、社会が楽しいので、社会の宿題が優先され、他の科目が後回しに。
そこで、マネジメントが必要になります。
社会にかける時間を減らし、その分算数に回します。そして算数をエースに育てるのです。
単元でも例を挙げておきます。
例えば、理科で「太陽と月・天体」が得意、好き。
しかし、志望校では月が過去に1度出ただけ。
今年も出題可能性は低いと言われている(ベテランに位置)。
一方で、「植物」は毎年出題がある。
残念ながら、「植物」は苦手分野だ(若手)
そこで、「太陽と月・天体」は直前メンテナンスに回し、「植物」に資源を回すというマネジメントが必要に。
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各グループの考え方は、
・ベテラン
実力十分。
好きな科目(単元)であることが多いので、ここに時間をかけてしまいがち。
ここにかける資源(特に時間)は必要最低限とする。
そして余った資源を、若手やエースに振り分ける。
ただし、直前メンテナンスは抜かりなく。このグループは本番の安定、心の支えになります。
・エース
入試の合否を左右する。
好きな科目(単元)であることが多い。
今までのように力をかけて、順調に育てていく。
本番では、稼ぎ頭。
・若手
合否決定科目(単元)であり、
それ以上にその学校を受験するか否かを左右するような科目(単元)。
本番までに、最も資源をかけて育てる。
しかし、苦手科目の可能性があるため、意図的に得意科目(単元)に変えていくメソッドが必要。
詳述は後日とするが、モチベーションを高く保ち続けるため、小さなできたを積み重ねることが肝要。
・控え
必要度も実力も低い。もし、受験科目から外せるならそれも検討する。
必須科目であれば、合格最低点を目指す。
そのための戦術が必要(ここでもっともマネジメントが活きる)
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受験生本人はもちろん、親御さんも、
おおよそのイメージは持っていると思います。
理科にもっと時間かけないとなぁ…
歴史をやらないと…
それを見える化することが大切です。
見える化すると、意識にはっきり上ります。
意識が変われば、行動を変えられます。
そこにプロの指導が必要であれば、
受験マネジメントの郷原行政書士事務所にお問い合わせください。
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最後に
お気づきの方もいらっしゃるでしょう。
このサブジェクトポートフォリオマネジメントは、
ボストンコンサルティンググループ(BCG)のプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)の応用です。
受験でよい結果を手にするためには、がむしゃらな努力に加えて、
全体をコントロールするマネジメントが必須です。
人類史において最もマネジメントが研究され、そして実践されたのが、おそらく戦争です。
そして、それが現代社会では企業活動・競争に応用され、さらに進化しています。
受験勉強は決して戦ではありません。
もっと崇高です。
もっと誇り高いものです。
そして、もっと楽しいものです。
ただし、戦や競争のマネジメントから学ぶべき方法論があります。
そして、サブジェクトポートフォリオマネジメントは、
企業競争の専門グループ、BCGのメソッド(PPM)を私が受験勉強に応用したものです。
是非参考にして、合格のために今どこに力をかけるべきか分析し、
限られた時間・労力を有効活用してください。
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本日さりげなく出てきた合格戦略。
これがなければ、マネジメントのしようがありません。
逆に、合格戦略があれば、塾の宿題・復習に追われて目標を・自分を見失うことも少なくなります。
次回は、合格戦略(受験戦略)について書きます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
成績上昇曲線と頭の中の勉強マップ
受験マネジメント
成績上昇曲線と頭の中の勉強マップ
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効果:復習テストでは点が取れるのに、模試で点が伸びない原因と対策が分かる
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成績上昇曲線とは
結論からお伝えしますと、努力に対して成績上昇は遅れてやってくるということです。
成績が上昇するのには時間がかかります。
グラフを見て頂くとわかるように、
①の部分では、努力(時間)の割に、成績が上昇しません。
しかし、ここであきらめずに勉強を続けると、一気に伸びる時期が来ます(②)。
そして、上昇した成績を直前期にメンテナンスする(③)という流れになれば、合格に近づきます。
このような現象を閾値越えと言います。(②が閾値です。)
ある地点に達すると一気に成果が目に見えるのです。
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では、なぜこのようなことになるのでしょうか?
それは、頭の中に勉強マップ(簡易イメージ下記)が完成するのに時間がかかり、
一方で、勉強マップが完成すれば、成績が安定するからです。
ここで大切なことは、
①頭の中に勉強マップができるように勉強すること
②それまで結果がでなくても辛抱すること
です。
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頭の中の勉強マップ
余談ですが、学問(勉強)の祖(父)と言えば、アリストテレスの名前が挙がると思います。
それは、彼がそれまでのギリシア哲学・科学を整理・分類・体系化したからです。
そのため、プラトンのような独創性のある人からすると、ただ整理しただけの人に映ります。
しかし、この整理・分類・体系化こそが、学問の大本です。
そして、大学の学部レベルまでの勉強(学問)とは、この整理・分類・体系化のことを言います。
即ち、私たち合格を目指す者が行わなければならないことは、
①人類の先輩方が築き上げた学問を知り、
②知ったことを自分の頭の中に、整理・分類・体系化する
ことになります。
このように頭の中に、勉強マップができれば、
入学試験において、どんな問題が出てこようとも、
自分の中の必要な知識を、自由に引き出し解答することができます。
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もう少し具体的にお話しします。
例えば、中学受験において多いのが、算数国語理科社会の中から2~4科の受験となります。
(最近は英語を選択できる学校も増えています。)
算数国語理科社会のマップを一部表示すると以下のようなイメージです。
それぞれの中に分類があり、その中にさらに分類があるという
いわゆる自己相似(フラクタル)のような形になります。
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算数を例にもう少し踏み込みます
例えば、塾で仕事算を習った。
しっかり復習したので、次の塾で行われた復習テストで満点を取った。
続いて、塾でニュートン算を習った。
こちらは少し複雑だったが、家庭教師の先生としっかり勉強したところ、復習テストで満点を取れた。そしてその1か月後の模試。警戒していたニュートン算が出た。
鉛筆は動く。しかし解けない。次第に自分でも何をしているのかわからなくなってしまった。配られた解答を見てみると、すごく簡単に解けそうに見える。もったいないことをした。次はできる…
しかし、ことはそれほど甘いものではありません。
実は、その問題は仕事算で解く問題だったのです。
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この区別が、制限時間のある試験の中で的確に行えるかどうかは、
勉強マップが頭の中にできているかどうかの差です。
もし算数の仕事算とニュートン算の関係が分かっていて、
分水嶺(ここで違いが生まれるというポイント、境目)まで把握できていれば、
①模試でどちらの解き方で攻めるか見当がつきます。
②また、もしニュートン算で攻めてうまくいかなかった場合に、仕事算を試そうと思うことができます。
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区別しなければならないのは、
勉強において、
1問解けたことと頭の中に勉強マップができたことは、
同じ1問が解けたとしても、雲泥の差があるということです。
そして、
復習テストや、範囲が限定されている試験ではある程度の成績が取れるのに、
実力の模試では点が思うように取れないとしたら、
それは勉強マップがまだできていない可能性が高いです。
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それでは、どうすれば勉強マップができるのか。
効果的な学習方法は、
目次勉強法です。
司法試験(今でも日本最難関の試験)でもこの方法が推奨されています。
そのやり方は、
①テキストの目次をコピーして、勉強の際常に机の横に置いておきます。
②そして、ことあるごとに目次を見ます。
これだけです。これだけで、人の頭は勝手に頭の中にマップを作ります。
さらに確実にしたければ、寝る前に
③自分が持っている目次をさーっとみる
ことをお勧めします。
注意点としては、目次の細かいテキストを選ぶことです。
そして、見る時に樹形図(体系化)を意識することです。
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実践するのは、難しいです。
しかし、その効果は大きいです。
実践のお手伝いをすることはできます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
なぜを問うとは何か?
なぜを問うとは何か?
因果関係の正体に迫ります。
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なぜを問う。
「どうして?」「なんで?」
日常でも、よくありますが、それ以上に、
予想していなかったことに遭遇した時に人は、なぜを問うのかも知れません。
恋人から突然別れようと言われたとき
上司から解雇を告げられたとき
おそらく、「どうしてですか?」「なんで?」
と問うのではないでしょうか。
それは、原因を探す行為です。
何か(結果)が生じたときに、そのもととなるもの(原因)を探す。
これは人の脳のくせのようです。
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なぜ‐目的
余談になりますが、
なぜを問うことによって、
原因を探すことのほかに、目的を探す場合もあります。
例えば、
なぜ心臓は動いているのか?
ぱっと思い浮かぶ答えは、
・血液を肺や全身に送るため
でしょうか。
これは、目的を探していることになります。
一方、
・洞結節から発生した電気信号が、電線を伝わり、心臓全体を刺激するから
と答えると、これは原因を探していることになります。
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なぜ風呂上がりに牛乳を飲むとき、腰に手を当てるのか
答えとして、
・腰をのけぞらせるため
とすると、目的を考えています。
この話には余談があります。
牛乳瓶の口のサイズは、一般的な飲み物の飲み口よりも大きく、
そのまま傾けると、飲み口が鼻にあたってしまいます。
そこで、腰をのけぞらせることによって、鼻にあたることなく、
瓶を傾けることを可能にしています。
ここで、腰に手を当てた方が、腰をのけぞらせやすい。
だから、腰に手を当てるのだそうです。
従いまして、
・牛乳瓶の飲み口のサイズが大きいから
と答えると、原因を考えています。
そしてその牛乳瓶のサイズが大きいのはなぜかと考えると、
それはある牛乳瓶のキャップを作っている会社が、そのサイズに統一したから
なのだそうです。
これは、原因でも目的でもなく、ルーツを探しているようなイメージになります。
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ここまで、なぜを問うときに、
原因
目的
ルーツ
など、探しているものが様々あるという話をしました。
このあたりの分類はアリストテレスが行っているものが有名ですね。
それでは、ここからは本丸である、原因を考えていきます。
因果関係
原因と結果の関係を因果関係と言います。
この因果関係、もちろん自然界には存在していません。
周りを見渡しても、因果関係は目に見えません。
単に、出来事と出来事が前後関係を伴って連続しているだけです。
つまり、因果関係とは、完全に人の脳の産物です。
またしても余談になりますが、
自然科学は因果関係を明らかにし、発展してきた側面があります。
例えば、
水を加熱する(原因)
水蒸気が発生する(結果)
単純な例ですが、この中にも因果関係が見えます。
しかし、科学者の中には、これは因果関係ではなく、
単に対応関係をまとめただけであるとおっしゃる方もいます。
自然科学者の中でも、因果関係がなにか意見が分かれるところのようです。
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ストーリーとプロット
さて、この因果関係について、イギリスの小説家の考えを紹介して思考を進めていきます。
そこで挙げられている具体例は、
「王が死んだ。その後、女王が死んだ。」
というものです。
これを彼は、単なるストーリーと言います。
一方で、
「王が死んだ。悲しみのあまり女王も死んだ。」
こうなると、これはプロットであると言います。
女王は、王が死んだ悲しみのために(=原因)死んだ(=結果)。
となり、因果関係がはっきりします。
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そして、この因果関係が見えると、人は安心するのです。
「なるほど。それで自ら死を選んでしまったのか」と、
分かった気になる(分かった)のです。
ここは本丸からそれますが、大変重要です。
人が分かったと言うとき、
それは分かった気になったときなのです。
そして、分かった気になるためには、因果関係が見えることが鍵になっているようなのです。
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一般論との合致
ここから、もう一段思考を深めます。
因果関係が見えるといいましたが、
見えた時とはどのようなときなのでしょうか。
例えば、
魔王が死んだ。
世界に平和が訪れた。
これには因果関係が見える方が多いでしょう。
一方で、
台風が近づいている
世界に平和が訪れた
これには因果関係が見えないと思います。
その違いは、
自分の中にある一般論と合致するかどうかがあります。
即ち、
魔王は、人の世界に魔王軍を送り込んで人を殺したりして世界に混迷をもたらしていそうだ。
そして、その魔王が死ねば、世界は混迷から解放され平和が訪れそうだ。
という一般論を持っている人は、
その自分自身の中にある一般論と合致して、因果関係が見え、
分かった気になることができるのです。
一方で、
台風が近づくと、世界が平和になるような一般論は、
持っていない人が多いので、そこには因果関係がみつかりません。
そのため、「?」となるのです。
さきほどの女王の例でいえば、
背後にある一般論は、
愛する人が死んだとき、その悲しみのあまり自らも死を選ぶ人もいるだろう
といったものでしょう。
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それでは、次のクイズを題材に、今の話をおさらいします。
Q.ある村では、必ず雨が降る雨乞いの儀式があります。それはどのような儀式でしょうか。
いかがでしょうか。
クイズに正解することは重要ではありませんが、
答えは、
雨が降るまで踊り続けるという儀式です。
その村の人にとっては、
雨乞いに儀式をした
雨が降った
ここには因果関係があります。
彼らの中の一般論と合致するからです。
一方で、私たちはそこには因果関係が見えません。
私たちが持っている一般論は、
低気圧=上昇気流が生じている。
空気中の水蒸気が上昇とともに冷やされて氷の粒となる。
氷の粒が大きくなると、重くなり下に落ちる。
落ちる中で、温められて水滴となる。
そのようにして、雨が降る
というものです。
そのため、
台風が来たので、
雨が降った
には因果関係が見えますし、分かった気になることができます。
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これは自然現象の例でした。次は、社会現象の例を挙げます。
志摩半島(三重県)では、真珠の養殖が盛んです。なぜか?
中学受験をした方は懐かしいでしょうか。
三河湾…のり、うなぎ
瀬戸内海…のり、くるまえび、はまち
宇和海…真珠、はまち
などですね。
養殖の地図を一生懸命覚えたという方もいらっしゃるでしょう。
その際、遠浅で比較的波の穏やかな地域で養殖が盛んですといった解説がなされています。
これは、
遠浅で比較的波が穏やか(=原因)なので、
養殖が盛ん(結果)
という因果関係です。
この説明を説得的だと感じる人は、自然科学的なものを信じている人で、
地理的条件によって社会現象が左右されることは一般的にあるだろうという一般論を持っていると言えそうです。
一方、次のような原因(ルーツといった方が正確かも知れません)に説得的だと感じる人もいるでしょう。
それは、
御木本さんが不屈の精神で、真珠の養殖を成功させたのが、鳥羽(志摩半島)だった(=原因)ため、
志摩半島では真珠の養殖が盛んです(=結果)。
これを説得的だと感じる人は、
人の気持ちや情熱によって、産業が生まれ伝統となることがあるといった一般論を持っているのだと思います。
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少し一般論というもののイメージがつかめたでしょうか。
以上をまとめますと、
なぜを問うとは、
原因を探すことであり、それは因果関係を見つけることである。
そして、因果関係がみつかるとは、自分自身の中にある一般論と合致することである。
したがって、なぜを問うとは、自分の中の一般論と合致する事実や出来事(=原因)を探すことである
と、これも一旦ではありますが、結論します。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
なぜ結末(結果)は大事なのか?
なぜ結末(いわゆる結果)は大事なのか?
前回、結果とは何かと思考し、
結果が大事だ!と言われる場面において、
因果関係に着目した“結果”ではなく、
段階に着目した“結末”が求められているのではないかと仮の結論を出しました。
では、なぜ結末が大事だ、結果を出せと言われるのか。
今回の問いは、
なぜ結末(いわゆる結果)は大事なのか?です。
本筋からそれますが、
思考において、そもそも…と考えることは有益であることが多いです。
前提を疑う思考法です。
そもそも結末は大事なのか?
例えば、会社の売上。
売上なんて下がったっていいのではないか…
1つの着眼点として興味をそそられます。
しかし、この問いはペンディング(保留)しておきます。
現実社会で実際に結末が大事とされる(言われる)具体例がたくさん挙がるため、
まずはその具体例から考えていきたいと思います。
・具体例から考える
それでは、結末が大事だ!とされる具体例を考えます。
例えば、
(会社やお店で)売上を上げろ!
(サッカーの試合で)勝て!
という場面が浮かびます。
前回の思考を踏まえて、結末と過程の対応関係を整理しておきます。
売上で考えますと、
売上=結末
日々の仕事=過程
としてよいと思います。
サッカーで考えますと、
勝敗=結末
日々の練習・試合内容=過程
とできそうです。
サッカーの方から考えます。
サッカーで結果が大事だ!と言われるときに求められるのは、結末としての勝利です。
卑近な例と思われるかもしれませんが、
サッカー漫画『ホイッスル』このようなシーンがあります。
ボールをけってるだけで幸せなのに
どうして勝ちたいんだろうね?
と主人公(風祭将)が思考する場面があります。
そこで風祭は次のように独白します。
それぞれいろんな熱(きもち)をボールに託して試合をする
負けたらそこで途絶える
勝てば先につながる熱(きもち)
負けるとそこで途絶えるのですね。
勝ち続けることで今のチームで戦い続けることができる。
同じようなことが会社やお店の場合でも言えそうです。
便宜上、複雑なビジネスシーンを簡略化して考えます。
即ち、売上を上げ続けなければ、会社・お店(=組織)は縮小し、いずれは潰れます。
・途絶えるもの、続くもの
ここで対になっているのが、
負ける・売上が下がる‐跡絶える
勝つ・売上が上がる‐続く
というストーリー(前後関係、つながり)です。
少しこの対概念でとどまり、定義を確認しておきます。
跡絶える
続いているものが尽きる
続く
一つの物・事がきれずにつながる
続くというワードからの連想で、永遠というキーワードを考えてみます。
永遠
無限に近い遠い未来まで時間的持続の際限のないこと
意味から考えても、続くことと永遠とは関連がありそうです。
永遠に続くという言い方がありますが、
意味から考えると、永遠という言葉の中に続くというニュアンスは含まれていそうです。
続いて、続いて、…その先に永遠がある(永遠になる?)という感覚でしょうか。
それとも、続いて、続いて、続いて、(そのあり様即ち永遠)かも知れません。
・まとめ
ここで、今までの思考から、言葉をつぎ足しながら、まとめます。
人が「結論が大事だ」というのは、
結末としての勝ち・売上増加によってチーム・組織が継続すること、
つまり未来へ続いていくことを求めているのであって、
それはその先の永遠への憧れである。
・結末がどちらでもいいとしたら?
次は少し視点を変えます。
仮に、結末はどちらでもよいとしたらどうなるのでしょうか。
例えば、
売上は上がっても下がってもいいよという会社
勝っても負けてもいいよというサッカーの試合
分かりやすいのでサッカーの例から考えます。
まず、このような試合…見ている側は、面白くなさそうです。
どちらのチームも勝つことにこだわって、必死に競い合うからこそ見ている者に興奮を感動を与えられるのだと思います。
そのルーツは、ローマ時代のコロッセオに求められるかもしれません。
決闘においては、勝者のみが生きることを許される。
その極限の状況が、面白いのです(現代人の感覚からすれば、未開・野蛮な印象があるかも知れません)。
また、勝つことにこだわり必死にやることは、試合の当事者にとっても面白いのかもしれません。
困難に挑戦し、それを乗り越えていくことに人は喜びを感じるようプログラムさせているのでしょう。
続いて、会社の例を考えます。
売上は上がっても下がってもいいよと言われた場合、
おそらくは社員(従業員)のモチベーションは上がらず、売上も下がるでしょう。
そこには、仕事をして結果(結末)を出すという喜びもなさそうです。
近年、ブラック企業や社畜、ライフワークバランス、働き方改革といった言葉が声高に叫ばれますが、
本来、人は結果(結末)にこだわり、必死に仕事をすることに喜びを見出す生き物です。
以上2つの例を見てきました。
ここで結末そのものと、結末にこだわることを区別したいと思います。
結末そのものとは、
サッカーでいうと、勝敗です。
会社でいうと、売上の増減です。
そして、結末にこだわることとは、
サッカーでいうと、勝ちを目指して必死に戦うことです。
会社でいうと、売上アップを目指して必死に働くことです。
先月サッカーワールドカップロシア大会が閉幕しました。
日本代表は、決勝トーナメント1回戦でベルギーに敗れ、悲願のベスト8には届きませんでした。
しかし、その戦い様に世界中から称賛の声が上がりました。
結果そのものは負けです。
それでも、結果にこだわったそのあり様が、人の心を動かすのです。
そのような例は枚挙にいとまがありません。
幕末、長岡藩の家老として戊辰戦争・北越戦争を戦った河合継之助。
河合継之助が主人公の小説『峠』について、
きれいにまとめられていますので、詳細はこちらのブログをご覧ください。
http://www.yama-mikasa.com/entry/2017/08/16/%E5%85%AB%E6%9C%88%E5%8D%81%E5%85%AD%E6%97%A5%E5%8D%88%E5%BE%8C%E5%85%AB%E6%99%82%E3%80%81%E6%AD%BB%E5%8E%BB_
戦争は勝たなければなりません。
河合継之助は敗者です。結末そのものは、敗北。
それも城下を火の渦に巻き込んだ罪人という評価すら下されています。
それでも、そのあり様には心を動かされます。私は涙が止まりません。
結果(結末)そのものではない。
これ以上は、道がない。むろん、全藩降伏という道はある。しかしながら、わが長岡藩はそれを望まぬ。
瓦全は、意気ある男子の恥ずるところ。よろしく公論を百年の後に俟って玉砕せんのみ
ちょうど150年後の今を生きる私たちは、河合継之助を、長岡藩士をどう思うのでしょうか。
身は一代、名は万代という言葉があります。
例え、敗れて死のうとも、そのあり様が、名誉が後世に残るのでしょう。
ここで前述のキーワード、永遠が浮かびます。
ある時点での結末そのものではなく、
結末にこだわるその姿勢・あり様が人の心を動かせば、
その名は永遠を生きるのだと。
ここまでくると、勝敗や売上の増減など、どちらでもいいと本当に思えてきます。
さて、問いに対して一旦の結論をします。
なぜ結末が大事なのか?
ここでの答えは、
から、としておきます。
次回は、因果関係について思考します。
なぜを問うこと。
それは原因と結果を考えることです。
Bという問題が起こった。
なぜその問題が起こったか考えて、再発を防ぐ。
よく見かけるシーンです。
この時に考えているのが原因です。
なぜ原因を考えるのか
原因とは何か
原因と結果の間にある因果関係の正体を思考します。
長文にお付き合い下さりありがとうございます。
結果とは何か?
かなり期間があいてしまいました。
現在、司法試験に向けて勉強をしています。法科大学院は卒業していないので、予備試験経由になります。
司法試験を受ける以上、結果(=合格)を出すことは大事です。
ところで、結果を出すことはなぜ大事なのでしょうか?
思考します。
(そんなこと考えずに勉強しろよと、思います。しかし、合格に必要なさそうな無駄な思考をせずにはいられない。それが私なのです。このあたり、業が深いなぁと思います。)
・対義及び類推から考える
結果とは何か?
国語辞典には、
結果
ある物事・行為から生じた状態
とあります。
ところで、何かを考える際、「○○ではない」を考えることが有効と言われます。
では、結果の対義語はなにか。
原因
ある物事や状態をひき起こすもと
とあります。
分かりそうな分からないような、もう少し、関連性のある言葉から考えていきます。
過程
物事の、進行・変化していく途中の段階
対義語はいくつか候補がありそうですが、結末はどうでしょうか。
結末
物事の終わり。最終的な結果
こちらが対義語として一番しっくりきます。
図示します。
このように見比べますと、過程‐結末は、段階に着目した言葉で、
原因‐結果は、因果に着目した言葉であると言えそうです。
ここで簡単に、因果とはなにか検討しておきます。
(こちらの詳細は現在執筆しています)
因果
(仏教で)すべての行為は後の運命を決定するということ
とあります。
そして、
運命
人の意思にかかわらず、身にめぐってくる吉凶禍福
抽象概念だけで思考を進めていくとわかりづらくなってきましたので、今回はこのあたりでとどめておきます。
これらの話から、具体例を考えます。
因果や論理を考える際よく挙がる例、『風が吹けば、桶屋が儲かる』で考えます。
・『風が吹けば、桶屋が儲かる』
風が吹けば、
大風で土ぼこりが立つ
土ぼこりが目に入って、盲人が増える
盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
ネコが減ればネズミが増える
ネズミは桶をかじる
桶の需要が増え、
桶屋が儲かる
いかがでしょうか。知っているよという方も、詳細を初めてみた方もいらっしゃると思います。しかしどなたもなにかの引っ掛かりはあるのではないでしょうか。
ここで抱く違和感は、例えばこんな感じでしょうか。
「風が吹いたからって必ずしも桶屋が儲かるという結末にはならないのではないか」
「桶屋が儲かった原因は風が吹いたなのだろうか」
その違和感をひも解くキーが、論理距離という概念です。
・因果関係と論理距離
確かに、風が吹いたからこそ、桶屋が儲かるという結末になった。
一応の因果関係は肯定されます。
しかし、あまりにも論理距離が遠いのです。
どんなに論理距離が遠くても因果関係を肯定するのであれば、桶屋の主人の母親が、その桶屋を生んだことも、桶屋が儲かった原因になります。
余談になりますが、論理距離の話は、
法律の世界では刑法における因果関係論で特に議論がなされます。
例えば、
男Aが、男Bを殺そうとして銃で撃った。
しかし、銃弾は男Bの小指にかすっただけで、とても死に至るようなケガではなかった。
ところが、男Bは念のため病院に行くといった。
そうして男Bが病院に行ったところ、その病院で大火があり、男Bが死んだ。
このような場合に
男Aが、男Bを殺そうとして(=殺人の故意あり)銃で撃った結果、男Bが死んだといえるか。
つまり、男Aの銃で撃ったという行為(=実行行為)と、男Bの死亡(=結果)の間に因果関係があるといえるか。
が問題となります。
法律の世界では、
条件説、相当因果関係説、因果関係と介在事情などの理論を使って因果関係の問題を処理します。
話を戻します。
原因と結果の距離があまりにも遠すぎるという、論理距離の話をしました。
・単純系と複雑系、社会現象
これに加えて、単純系と複雑系の概念も、因果関係を考える上で、キーになります。
単純系とは、
原因と結果が1本の線で結ばれるような世界です。
一方、複雑系は、
1つの結果に様々な原因があり、またそれらの原因も様々な結果に結びついてるような世界です。
1998年フランス大会で、日本代表を史上初のサッカーワールドカップ出場に導き、2010年には、南アフリカ大会で、日本代表をベスト16に導いた岡田武史さんは、
サッカーを複雑系と捉え、勝利という結果のために、様々な取り組み(=行為、原因)を実施することで知られています。
ビジネスシーンにおいても、複雑系で捉えるマーケティングがよく取り上げられています。
さらに1つの概念として、自然現象と社会現象という分け方も紹介させてください。
単純に分けられるものではありませんが、
人と人によってつくられる集団である社会は、複雑系で捉えられることが多いです。
私たちが暮らす社会は複雑系であり、その論理距離も近いもの遠いもの様々あります。
そうすると、結果が大事だというが、なにが原因で何がその結果なのか判断は難しいと言えそうです。
・結末として捉える
一方、思考の途中で出てきた、過程と結末の方は、幾分捉えやすそうです。
段階の判断については、桶屋の立場から考えると、
桶屋が儲かったことが結末であり、そこまでを過程と捉えることが最も自然です。
また、
よく世間で言われる
「結果を出す」
「結果が大事」
というセリフですが、
ここで言われている「結果」とは、「結末」のことではないかと思うのです。
(結果でありかつ結末でもある場合も多いです)
具体例で考えます。
結果が大事だと言われそうなシーンを考えます。
・売上を上げる
・サッカーの試合で勝つ
どちらも、因果に焦点を当て、原因‐結果関係で捉えると、結果と言えそうです。
一方で、段階に焦点を当て、過程‐結末の関係で捉えると、結末と言えそうです。
そして、
売上を上げろ!と言っている人は、因果を重視しているのか、段階を重視しているのかというと、
段階として最終的に売り上げを上げろということだろうと想像します。
サッカーでも、勝つことが大事ですというときには、「内容はともかく結果が」というように、
段階に焦点が当たっています(言葉自体はkekkaと発音されていますが)。
そこで、結果とは何か?という問いに対して、「結末(=物事の終わり)である」と一旦の結論を下します。
そして、続く思考では、なぜ結末は大事なのか?と問いを立て進めていきます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
いじめ防止対策推進法第24条(学校の設置者による措置)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(学校の設置者による措置)
第二十四条 学校の設置者は、前条第二項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、その設置する学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。
【解説】
□ 主体
学校の設置者とは、公立学校にあっては教育委員会となります。
そして、教育委員会では可能な限り14条3項のいじめ対策付属機関が設置されるよう求められていますので、
本条文の主体の代表は、14条3項の付属機関といえます。
前述しましたように、14条3項の付属機関については、日ごろから学校いじめ対策組織と連携しておくことが求められています。
□ 実施事項
23条2項では、学校がいじめの事実の有無の確認をした際には、教育委員会への報告が必要でした。
その報告を受けて、教育委員会がなにをなすのかということです。
明記されているのが以下の内容です。
・対学校 → 支援、指示
・対事案 → 調査
「必要に応じ、」とあるように、これは教育委員会の責務ですが、必ず実施されるものではありません。
教育委員会の裁量が認められているわけですが、この裁量に逸脱・濫用があれば違法となる可能性があります。