不登校・苦登校支援 フリースクール レイパス

特定非営利活動法人レイパスについて

 

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レイパス

raypass-freeschool.wixsite.com

 

フリースクールレイパスの活動紹介

 

「学校は合わない、でもきちんと勉強はしたい」「自分の興味のあることを自分のペースで学びたい」といった不登校・苦登校の子どもたちの声をうけ、自由に学べる場として開設しました。
教員免許保有者が一人ひとりに学習指導計画を作成。その計画に基づき、塾講師・家庭教師として実績十分のスタッフが、子どもたちの学び方で教えます。もちろん、他の子どもたちとの交流や遊びの時間も大事にしています!

 

・学習領域:学校の勉強、受験勉強、好きなこと探究など、プログラミング・IT・PC操作など、モノガタリ学習(マンガ、映画、小説など)

 

・対象:小学校1年生~18歳程度


※原則、switchやスマホなどを使うゲームはしません

 

NPO法人レイパスの紹介

 

 

レイパスは、教育基本法の趣旨に則り、すべての子どもたちが、人格を磨き、豊かな人生を送るための教育を受けられる社会を実現することを使命としています。
その軸として、大阪府フリースクール「レイパス」を運営し、①安心できる居場所②まっすぐ学べる場③自立・夢につながる学習を子どもたちに提供しています。

 

① 安心できる居場所
レイパスでは、無条件かつ肯定的に子どもたちを受け入れます。性別や年齢、国籍の枠組みを超えて、広く誰もが学べる場です。
最低条件として、からかいや無視、暴力といったいじめ、その他の人権侵害をなくします。そのため、未然防止・対処・再発防止を徹底します。そのうえでレイパスに関わる全ての人が子どもたちを温かく受け入れることで、「私はここにいていいんだ」と子どもたちが安心できる場。これはレイパスの学習の土台にもなります。

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② まっすぐ学べる場
レイパス(RAYPASS)という名前は、私たちの理念を表しています。Realize your potential as it is by sincerityからRAYPASSと名付けました。レイパスは、子どもたちの好奇心がそのまま才能であり、可能性であると考えています。
レイパスでは、①知識・技能②思考力・判断力・表現力③学びに向かう姿勢等を念頭に、一人ひとりに合わせた学習を実施しています。学習範囲は、いわゆる算国理社や英数国社理にとわられず、子ども自身が学びたいことをすべて学習対象としています。一人ひとりが、「好き」「面白い」「もっと知りたい」と感じることをまっすぐ学習します。

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③ 自立・夢につながる学習
このような学習こそが、子どもたちの自立につながります。自分の好奇心で行う学習は、与えられる学習とは次元を異にします。高い集中力で物事に取り組む力は、受験勉強でもその先の仕事でも必要とされます。その意味でレイパスでの学習は、職業能力開発にもつながります。さらに、学習を進める中で、子どもたちは自分の人生のテーマと出会います。子どもたちは進学でも就職でも、自分で目的を決めて主体的に決断します。
一方で、今学びたいことがない子どもたちには、将来の選択肢を広げるために学校の勉強をおすすめしています。やりたいことが見つかったときに、進学や資格取得できるベースの学力があることは優位に働きます。レイパスでは学校と密接に連携し、出席扱いや成績反映で不利を軽減できるように努めています。自分に合った学校への進学、私立の学校への転校、進学校への進学、通信高校への進学、専門学校への進学、大学受験、資格取得、就職、起業など、人生を左右する場面で「勉強できないこと」が夢の妨げにならないように、レイパスは学習を最大限サポートします。

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Mission レイパスの使命

レイパスは、教育基本法の趣旨に則り、すべての子どもたちが、人格を磨き、豊かな人生を送るための教育を受けられる社会を実現することを使命としています。

その軸として、フリースクール「レイパス」を運営し、①安心できる居場所②まっすぐ学べる場③自立・夢につながる学習を子どもたちに提供します。

 

① 安心できる居場所

レイパスでは、無条件かつ肯定的に子どもたちを受け入れます。性別や年齢、国籍の枠組みを超えて、広く誰もが学べる場です。

最低条件として、からかいや無視、暴力といったいじめ、その他の人権侵害をなくします。そのため、未然防止・対処・再発防止を徹底します。そのうえでレイパスに関わる全ての人が子どもたちを温かく受け入れることで、「私はここにいていいんだ」と子どもたちが安心できる場。これはレイパスの学習の土台にもなります。

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安心できる居場所

 

② まっすぐ学べる場

レイパス(RAYPASS)という名前は、私たちの理念を表しています。Realize your potential as it is by sincerityからRAYPASSと名付けました。レイパスは、子どもたちの好奇心がそのまま才能であり、可能性であると考えています。

レイパスでは、①知識・技能②思考力・判断力・表現力③学びに向かう姿勢等を念頭に、一人ひとりに合わせた学習を実施しています。学習範囲は、いわゆる算国理社や英数国社理にとわられず、子ども自身が学びたいことをすべて学習対象としています。一人ひとりが、「好き」「面白い」「もっと知りたい」と感じることをまっすぐ学習します。

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まっすぐ学べる場

 

③ 自立・夢につながる学習

このような学習こそが、子どもたちの自立につながります。自分の好奇心で行う学習は、与えられる学習とは次元を異にします。高い集中力で物事に取り組む力は、受験勉強でもその先の仕事でも必要とされます。その意味でレイパスでの学習は、職業能力開発にもつながります。さらに、学習を進める中で、子どもたちは自分の人生のテーマと出会います。子どもたちは進学でも就職でも、自分で目的を決めて主体的に決断します。

一方で、今学びたいことがない子どもたちには、将来の選択肢を広げるために学校の勉強をおすすめしています。やりたいことが見つかったときに、進学や資格取得できるベースの学力があることは優位に働きます。レイパスでは学校と密接に連携し、出席扱いや成績反映で不利を軽減できるように努めています。自分に合った学校への進学、私立の学校への転校、進学校への進学、通信高校への進学、専門学校への進学、大学受験、資格取得、就職、起業など、人生を左右する場面で「勉強できないこと」が夢の妨げにならないように、レイパスは学習を最大限サポートします。

 

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自立・夢につながる学習

 

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Core Competence レイパスの特徴

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①訪問支援

 不登校の子どもといっても、状況は千差万別です。いきなりフリースクールには来られない子どももいます。そんな子どもたちにも支援の手を差し伸べるべく、レイパスでは訪問支援を行っています(2,000円 / 1時間)。

一度、レイパスのスタッフと会って話せば、「フリースクールに行ってみる」となるケースもあります。また、不登校について、本人と同等かそれ以上に悩まれている保護者様もいます。保護者様の相談をお聴きすることもできます。

 

②学習・勉強

レイパスは、学習によって可能性を広げるフリースクールです。学校の勉強も含めてみんな一生懸命、学習しています。その努力は、将来の進路選択にもつながります。「集中タイム」には、それぞれが今学んでいることに集中して取り組みます。対象は、学校の勉強に限りません。興味のあることはなんでも対象です(※原則、テレビゲーム・スマホゲームはしません)。一方、「遊びの時間」には、ボードゲームやカードゲームをしたり、自由にマンガを読んだり……公園へ遊びに行くときもあります(すべて任意参加)。

また、レイパスでは校外学習を大切にしています。科学館・博物館・美術館だけでなく、遠足にもよく行きます。

 

③少人数・個別

一人ひとり学習の進度は異なります。教員免許保有スタッフが、各自の状況を見極めて、学習計画を立てます。また、少人数・個別指導のため子どもたちも安心して通えます。なお、レイパスは、平日10:00-16:00 で開いていますが、登下校の時間は自由です。そもそも登校する、しないも自由です。

 

④学校連携

レイパスは、学校との連携を大切にしています。出席扱い・実習用通学定期の実績も豊富です。教育委員会の方、学校の校長・担任、SSWの方もレイパスを訪問されています。

 

⑤スタッフ

大阪大学出身のスタッフが、学習について手厚くサポート。わかるから楽しい、楽しいから続けられます。他にも様々な大人がボランティアとして参加しています。

 

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レイパスのスタッフ

郷原徹志(代表理事

中学時代に、いじめ被害と不登校を経験。大阪大学法学部卒業後、民間企業を経て行政書士事務所開業。専門は『いじめ防止・不登校支援』。児童相談所職員(非常勤)として、被虐待・非行児童のケアにも携わる。資格​:小学校教諭二種免許状、行政書士、チャイルドカウンセラー


 片渕 浩平(副理事・教室長)

大阪大学経済学部卒業後、コンサルタント会社に就職。大阪・東京の大企業に入り込んで、プログラミング等のIT関連業務を行いながらの「草の根的組織改革」に7年間従事。また、塾講師として難関高校・大学の指導実績多数。

おすすめのマンガ:鬼滅の刃ハンターハンターベイビーステップ、呪術廻戦、3月のライオン

 



Innovation レイパスの変革

前回見てきたように、学校教育には課題があります。そしてそれが、不登校・苦登校の原因の1つになっているとレイパスは捉えています。つまり、不登校・苦登校の原因は、決して、本人にはありません。そして、お母さん・お父さんにもありません。さらに、学校の先生にもないのです。学校教育が合わなかっただけなのです。この認識から、レイパスは不登校問題に対して、2つの変革を起こします。

 

① 不登校のイメージ変革

大人でも就職先を選ぶ際に、世間体を気にします。思春期の子どもたちであればなおさらです。不登校となり、フリースクールに通うことに対して劣等感を覚える子どもたちもいます(そして親もそう思ってしまうことが多々あります)。「フリースクールに通えばいよいよ本当の不登校になってしまう」「不登校はみじめで、カッコ悪い」「フリースクールは学校よりもレベルが低い」といった声も聞かれます。子どもたちが、不登校をそのように感じてはなりません。

まず、信頼のおけるきちんとした組織で運営しています。また、子どもたちが通っていることを誇りに思えるようなフリースクールにしなければなりません。質の高い学習環境を整え、一生懸命学ぶ。さらに、レイパスのロゴやキャラクターを考えたりしてレイパスを一緒に育てています。

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② 誰一人取り残さない社会教育

私たちが捉えた学校教育の課題は、当然、教育現場でも把握されており、対処も進んでいます。私たちも学習指導要領を研究させていただきましたが、そこには教育のあるべき姿が表されています。しかしながら、一人ひとりの子どもたちと向き合うには、学校という組織はやや大きすぎるのです。学校の課題を一身に背負った子どもたちには、別の居場所が必要です。それが、学校教育と両立しうる社会教育の役割です。

「怠けているだけだ」「それくらいみんな我慢している」など、不登校・苦登校の子どもたちに対して、批判的な声もあります。しかし、私たちは不登校・苦登校をそのようには捉えません。永い人類の歴史から見れば、極めて特殊な場である“学校教育”に合わなかっただけだと考えます。

 

―本来、学校というのは、平均的な青年にとって十分な意味を持っている。もともと教育という公設機関は、少年や青年というものの平均像を -あくまでもそれを- 基準とし、一定の課程を強制することによって彼らの平均的成長を期待しうるものとして、そのような想定のもとに設置され、運営されている。自然、平凡な学生の成長にとっては学校ほど -どのような学校にせよ- 有意義な存在はないかもしれないが、精神と智能の活動の異常に活発すぎる青年 -天才といっていい- にとっては、この平均化された教授内容や教育的雰囲気というものほど、多くの場合、有害なものはないかもしれない―

『世に棲む日日』司馬遼太郎

 

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繰り返しになりますが、不登校・苦登校の原因は、決して、本人にはありません。学校教育が合わなかっただけなのです。

学校教育が合わないのであれば、一人ひとりと向き合う社会教育があればいいのです。それは、学校教育よりももっと不登校・苦登校の子どもたちに合った社会教育です。そして、その下で、子どもたちはその才能を大きく伸ばす。レイパスはそんな社会教育を提供します。

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Vision 学校観(不登校の背景)

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Vision

現場の学校はどのような状況にあるのか、私たちは自分たちの体験と様々な方の知見を合わせて、学校教育の長所を以下の3つの観点から捉えました。

 

① 効率的・効果的な教育

40人一斉授業や全国一律の学習指導要領にみられるように、原則として、子どもたちはあらかじめ決められた学習内容を一方向的に伝達されます。これは学校の成り立ちから考えると、非常に合理的な状態です。

そもそも、近代教育(学校)が登場したのは産業革命以降になります。国としては、産業を興し、国を発展させるため、優秀で均質な労働者を大量に生産することが必要でした。また、工場労働者が増える中で、子どもの面倒を家庭内でみることができなくなり、日中子どもを預かってくれる場所も必要でした。この要請を同時に実現するのが、学校だったわけです。そこでは、効率的に知識を伝達するため、大人数一斉授業が行われ、学習内容も偏りがないように全国で統一されたものとなりました。

 

② 競争

評価の方法には、大きく絶対評価相対評価があります。

絶対評価とは、評価者が絶対的に評価するものです。例を挙げますと、大学のレポートなどでは、教授が読んで「これは、合格!」「これは、不合格!」といったように、教授の中にある基準でジャッジします。

一方、相対評価とは、何かと比べて評価するもので、自分の中で比べる場合と、他者とまたは集団で比べる場合とがあります。自分の中で比べる方法には、過去の自分との比較(自己比較評価)・自分の目標との比較(目標到達度)・自分の中での科目ごとの比較(得意不得意)などがあります。このように評価の方法には様々あります。

しかし、日本で評価といえば、他者との相対評価です。その最たるものが、偏差値や順位付けです。このメリットは大きく2点あり、モチベーションが上がることと、評価として公正ということです。例えば、大学の入学試験において、一生懸命努力した子が報われるという競争システムは、勉強のインセンティブになります。また、点数で順位付けし合否を決めるというシステムは、公正でわかりやすいものです。教授に独断で「うーん、不合格!」と絶対評価されるのは困ります。また、受験者が過去の自分よりもよくなっているので「合格!」と自己比較評価するのも困ります。

 

③ 協調性

協調の伝統は、日本の学校で大変重視されます。“みんな仲良く” “みんなで力を合わせよう”という意見は、美徳として受け入れられます。

では、日本人の協調性を重んじる伝統はどこからきたのでしょうか。

まず日本人のルーツは、農耕民族にあります。農耕民族は、家族やムラで協力して生産活動しなければならなかったため、狩猟民族にルーツを持つアングロサクソンと比べて、協調性が重視されるといわれます。

さらに、中国などほかの農耕民族以上に、日本では協調性が重視されます。その理由は日本の歴史にあるという説があります。

日本人は、縄文人弥生人の混血だとするのが現在の定説です。海の向こうからやってきた弥生人縄文人は受け入れ、また弥生人縄文人と共存することを選んだわけです。これは稀有な例とされています。世界史では、民族と民族とがぶつかったとき、殺しあうか追い出すのが通常です。日本人は、共存し、同一化することを選んだ祖先のDNAを受け継いでいるのです。

 

VisonⅡ

本の学校教育は、能力の高い・勤勉な労働者を育ててきました。そして、その人たちが日本の経済・社会を支えています。日本ではあまり強調されませんが、世界では、日本の教育は成功例として注目されています。

一方で、学校教育にはその特徴ゆえに以下の3つの課題があると考えました。

 

① 自分の頭で考えられない

上述した通り、学校教育では与える教育がメインストリームです。与える教育には、効率的に知識を伝達できるというメリットはありますが、自分の頭で考える習慣が身に付きづらいというデメリットもあります。自分の頭で考えない子どもたちは、次のような行動をとります。

答えを、先生や教科書に求める。わからないことはすぐにインターネットで調べる。次に自分が何を勉強するか、与えられるまで待っている。自分の進路を、周りに合わせたり、親の言う通りにしたりする。正しいことは何か、友達の反応で判断する。みんな(多数決)で決めたことを疑いもなく正しいと思い込む…

 

② 学習意欲の低下

周りと比べる教育の結果、切磋琢磨し向上心を持って勉強できる子どもも多くいます。

一方で、一度つまずくと、成績が下がる→やる気低下→勉強しない→わからない→成績が下がる→やる気低下…という悪循環に陥ってしまいます。さらに、40人一斉授業ですので、わからないまま授業は進んでいきます。わからないものは、面白くありません。

こうして、学年が上がるごとに、学習意欲は低下していきます。「どうせできない」「勉強する意味が分からない」という言葉が、子どもたちから聞かれるようになります。これを学習性無力感(learned helplessness)といいます。

 

③ 少数者・特徴のある子の排除

そもそも“ヒト”には、異質者を排除して群れの団結力を高める本能があります。

同じであることを求め、強い団結力を生み、組織・チームで大きな結果を出す。これは日本人の強みです。ビジネスでもスポーツでも、日本の組織力は世界の第一級です。

しかし、この同じであることを求める空気が、異質者の排除として働き、特に学校や会社といった閉鎖空間では、いじめという形で問題となります。一時期、「KY」という言葉が流行りました。これは、空気を読めないという意味で、KYであればいじめられても仕方がないというのが子どもたちの理論でした。また、教師も“みんなで力を合わせて”  “みんな仲良く”を求めます。これは、子どもたちにとって、ある一面ではストレスとなります。どうしても仲良くできない相手はいるものです。その場合、双方適切な距離をとればよいのですが、学校には“みんな仲良く”という金科玉条があり、さらに学級という物理的な制約から距離をとることも難しいのです。この状況で、少数者や特徴のある子、目立つ子がターゲットとなり、いじめが行われます。いじめが成功しターゲットが排除されれば、次のターゲットを見つけて排除する……これを繰り返します。その結果、学校に残った子どもたちの団結力・協調性は高まります。この様子を「人が怪物になる」と表現する識者もいます。

 

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以上見てきたように、学校教育には課題があります。そしてそれが、不登校・苦登校の原因の1つになっているとレイパスは捉えています。つまり、不登校・苦登校の原因は、決して、本人にはありません。そして、お母さん・お父さんにもありません。さらに、学校の先生にもないのです。学校教育が合わなかっただけなのです。

Reason レイパス設立の経緯・背景

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① 代表郷原の経験

私(郷原)は、中学2年の時、学校でいじめに遭いました。今思い返せば、ささいなからかい程度のものです。それでも中学生の私には厳しいものでした。相談した先生からは、「郷原だけが苦しんでいるわけではない、いじめている彼らにも苦しい思いがある。だから我慢しなさい」と言われました。いじめられることは、情けなく恥ずかしいことだと思っていたため、親に相談することはできませんでした。

また、中高6年間、学校の教室という場に居心地の悪さを感じていました。友だちの輪から外されないように発言に気を使ったり、こまめに連絡を取りあわなければない毎日…。発言力のある陽キャラとそうでない陰キャラに分類され、クラスの中心的人物の機嫌を取りながら生活するクラスメイト達…。さらに、学習の内容・ペースはすべて学校に決められていた…。今振り返ると、二度と戻りたくない不自由な日々でした。

また、私は行政書士として、いじめ防止や不登校支援に関わってきました。多くの場合、いじめや不登校の問題では本人と同等かそれ以上にお母さんが心を痛めています。その思いを法的根拠とともに文書にして学校へ改善要求しますが、私が関わった学校では誠実な対応を得られませんでした。「まぁ穏便に…」と要求をかわして時間稼ぎをし、口裏を合わせたかのように「そのような記録は残っていません」と白を切られます。もちろん、すべての学校に問題があるわけではありません。むしろ、レイパスの周りには、子どもたちのために一生懸命働いている学校・先生がたくさんいらっしゃいます。

しかし私としては、行政書士としての活動に限界を感じ、なすべきことは、学校を良くすることではなく、社会教育の場を整えることだと考えました。そして、フリースクールの開校を決意しました。※社会教育:家庭・学校以外の場での教育

 

② 不登校・苦登校について

現在、日本には18万人をこえる不登校の子どもがいるとされています(参考:小学1年~中学3年の人口が約900万人)。大阪府だけでも1万人を超える子どもたちが学校にいけていません。そしてこの数は、高度経済成長期から一貫して上昇しており、今後も増加していくことが推測されます。もはや、不登校は誰の身にも起こりうることで、特殊な事象ではないのです。

この事態に対応すべく、法整備も着実に進んできています。2016年に成立した教育機会確保法(義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律)では、学校復帰だけが目標ではないこと及び学校以外の教育の場も重要であることが確認されました。また、教育機会確保法の趣旨を受け、文部科学省が新たな通達を出しました。その結果、不登校の児童生徒がフリースクールに通学した場合、もともといた学校(原籍校)において出席扱い・卒業を認められやすくなりました(校長の裁量)。今後も、既存の学校教育以外の社会教育(オルタナティブ教育)の重要性は増していきます。

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文部科学省令和元年調査

さらに、近年問題となっているのが、“苦登校”です。学校にいくのは苦しい・嫌だ、でも学校を休みづらく登校している…そんな子どもたちの様子を表す言葉です。日本財団の調査によると、苦登校の数は不登校の3倍にのぼります。つまり、約50万人の子どもが苦登校の状況にあるということです。

レイパスの教育と子どもたちの自立

◇ レイパスとは ◇

学習で子どもたちの可能性を実現する教育

特定非営利活動法人レイパス

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レイパスはフリースクールを運営している大阪のNPO法人です。

ここでは初めにレイパスの特徴を紹介させていただきます。

 

・好きなことを学習する

レイパスは、「学習することで可能性を実現させる」フリースクールです。

学習といっても、学ぶ対象は学校の勉強だけではありません。

学校の勉強がしたい子どもは、学校の勉強をしますし、プログラミングやITに興味のある子どもは、その学習をします。マンガやアニメに興味のある子どもは、学習としてマンガを読むこともできます。(原則、switchやスマホのゲームはしません)

イベントの日には、美術館など社会見学施設に行ったり、英会話講座などを開くこともあります。

子どもたちが興味のあることをとことん学習できる場所。それがレイパスです。

 

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学習

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プログラミング

・レイパスの遊び

レイパスは、遊びの時間も重視しています。子どもたちの居場所となる点でも、子どもたちの社会性を育む点でも、遊びは重要です。

レイパスでは、ボードゲームやカードゲームでの遊びが人気です。特にカタンが流行っています。

また、運動習慣育成のためにも、公園やバスケットコートで運動しています。スタッフも一緒になって、本気で遊んでいます。

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カードゲーム

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外遊び

・身に付く力

このような学習と遊びから、レイパスでは以下のような力を身に付けられます。

①『知識・技能』

子どもたち自身が取り組んだ学習テーマの内容はもちろん身に付きます。それのとどまらず、関連した基礎学力(リベラルアーツ)も獲得します。

例えば、パソコンが好きな子どもには、理解を深めるために物理や数学を指導することもあります。さらに情報社会について理解するため社会科を指導することもあります。

これを大人が強制するわけではなく、子どもの求めに応じてレイパススタッフが導いていきます。

 

②『思考力・判断力・表現力』

レイパスでは「知らないことを考える力」と「社会人基礎力」を重視しています。

「知らないことを考える力」の主な要素は、論理的思考と想像力です。

「社会人基礎力」の主な要素は、報告習慣、計画力、実行力です。

これらを、自分の好きな学習に取り組む中で自然と身に付けられるように、レイパスのスタッフがサポートします。

 

③『学びに向かう姿勢・人間性

そして、レイパスが最も大切にしているのが「一生懸命さ」です。

好奇心で学習することも必要ですし、少し苦しい状況でねばることも必要です。

とにかく、一生懸命に学習することのよさを子どもたちに感じてほしいと思っています。

 

 

◇ なぜこのような教育を行っているのか ◇

子どもたちは全員、社会へ出て何らかの生産活動を行う必要があります。それが自立です。

その中で、生活する糧を獲得し、同時に自己実現することができます。

 

そこで、私たちの社会はどのような生産方法をとってきたのか。そして、これから社会はどのような生産方法になっていくのか考えなければなりません。

そうすれば、社会がどのような人を必要としているか見えてくるからです。

 

1.身本主義

適切な言葉がないので、レイパスが作りました。

「身=身体」が中心の経済です。狩猟採集や農耕牧畜といった身体をつかった生産です。

(一般的に、資本主義の前は封建制とされますが、これでは観点がずれますのでここでは扱いません)

 

2.資本主義

現代は、いまだこのステージにあります。

「資=物・金」が中心の経済です。工場(=物)とお金を資本家が用意して、そこで雇われた労働者が働く形態です。メインプレーヤーは資本家と株式会社ですね。

 

3.知本主義

ドラッカーもおっしゃるように、次の社会は知本主義だといわれています。

「知=人の知識・知恵」が中心の経済です。アイデア勝負の起業家やフリーランスが増えてきていることを見ても、部分的にこの状態に移行しつつあるように思われます。

 

4.人本主義

さらに発展した社会です。

「人=人の心」が中心の経済です。この時代には「経済」といっても、いわゆるお金の経済ではなく本当の意味の経済(経世済民)を意味すると思われます。

つまり、人による人のための社会が実現されている状態です。この時、市民社会の中核を担うのかNPO法人であるといわれています。

 

このような時代が目の前に来ています。

そこで子どもたちに求められるのが、単なる工場労働力(勤勉に言われたことをこなす力)でもなく、知識(学校や仕事で覚えたこと)でもないことがお分かりいただけると思います。

子どもたちが自立して生きていくために必要なのは、自分で「なにが正しいか」「なにをすべきか」考え、実行する頭と心だとレイパスは捉えています。

不登校と学校教育

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◇ 不登校についてのレイパスの思い ◇

不登校について調べると、その原因を探す議論が多々あります。

レイパスは、決して本人やお母さん・お父さんの問題ではないと考えます。そして、学校の先生の責任にする問題でもないと考えます。

不登校の原因を探すよりも、必要なことは不登校の子どもたちに合った教育を探すことです。

 

◇ 不登校 ◇

現在、日本では16万人をこえる子どもが不登校であるとされています。

中学校では実に100人に3.65人が不登校で、クラスに1~2人はいる計算になります。

そしてこの数は、高度経済成長期から一貫して上昇しており、今後も増加していくことが推測されます。

もはや、不登校は誰の身にも起こりうることで、特殊な事象ではありません。

 

◇ 法制度 ◇

この現状を受けて、法制度も着実に進んできています。

2016年に成立した教育機会確保法では、学校復帰だけが目標ではないことと、学校以外の教育の場も重要であることが確認されました。

また、教育機会確保法の趣旨を受け、文部科学省が新たな通達を出しました。その結果、不登校の児童生徒がフリースクールに通学した場合、もともといた(籍を置いている)学校において出席扱い・卒業を認められやすくなりました(校長の裁量)。

 

​◇ 苦登校 ◇

さらに、近年問題となっているのが、“苦登校”です。

学校にいくのは苦しい・嫌だ、でも学校を休みづらく登校している…そんな子どもたちの様子を表す言葉です。

日本財団の調査によると、苦登校の数は不登校の3倍にのぼります。

そのまま計算すると、約50万人の子どもが苦登校の状況にあるということです。

 

​◇ 不登校・苦登校の子どもたち ◇

不登校・苦登校の子どもたち ~レイパスの考え~

不登校の子どもたちに対して、批判的な目もあります。

しかし、レイパスは不登校・苦登校をそのようには捉えません。

永い人類の歴史から見れば、極めて特殊な場である“学校教育”に合わなかっただけだと考えます。だからこそ、不登校の子どもたちには、別の教育が必要であると確信するのです。

 

​・不登校・苦登校の子どもたち ~先哲の考え~

司馬遼太郎氏は小説『世に棲む日日』で以下のように書かれています。

「本来、学校というのは、平均的な青年にとって十分な意味を持っている。もともと教育という公設機関は、少年や青年というものの平均像を -あくまでもそれを- 基準とし、一定の課程を強制することによって彼らの平均的成長を期待しうるものとして、そのような想定のもとに設置され、運営されている。自然、平凡な学生の成長にとっては学校ほど -どのような学校にせよ- 有意義な存在はないかもしれないが、精神と智能の活動の異常に活発すぎる青年- 天才といっていい- にとっては、この平均化された教授内容や教育的雰囲気というものほど、多くの場合、有害なものはないかもしれない。」

 

​◇ 学校教育の特徴 ①与える教育 ◇

・①与える教育 ~受け身の授業~

40人一斉授業や全国一律の学習指導要領に代表されるように、原則として、子どもたちはあらかじめ決められた学習内容を一方向的に伝達されます。

 

​・①与える教育 ~歴史的経緯~

これは学校の成り立ちから考えると、非常に合理的な状態です。そもそも、近代教育(学校)が登場したのは産業革命以降になります。国としては、産業を興し国を発展させるため、優秀で均質な労働者を大量に生産することが必要でした。また、工場労働者が増える中で、子どもの面倒を家庭内でみることができなくなり、日中子どもを預かってくれる場所も必要でした。この要請を同時に実現するのが、学校だったわけです。そこでは、効率的に知識を伝達するため、大人数一斉授業が行われ、学習内容も偏りがないように全国で統一されたものとなりました。

 

◇ 学校教育の特徴 ②競争 ◇

・②競争 ~評価の方法~

評価の方法には、大きく絶対評価相対評価があります。

絶対評価とは、評価者が絶対的に評価するものです。例えば大学のレポートなどでは、教授が読んで「これは、合格!」「これは、不合格!」といったように、教授の中にある基準でジャッジします。一方、相対評価とは、何かと比べることで評価するもので、自分の中で比べる場合と、他者や集団で比べる場合とがあります。自分の中で比べる方法には、過去の自分との比較・自分の目標との比較(目標到達度)・自分の中での科目ごとの比較(得意不得意)などがあります。

 

​・②競争 ~他者との相対評価

このように評価の方法には様々あります。しかし、日本で評価といえば、他者との相対評価です。その最たるものが、偏差値や順位付けです。このメリットは大きく2点あり、モチベーションが上がることと、評価として公正ということです。例えば、大学の入学試験において、一生懸命努力したものが報われるという競争システムは勉強のインセンティブになります。また、点数で順位付けし、合否を決めるというシステムは、公正でわかりやすいものです。教授に独断で「うーん、不合格!」と絶対評価されるのは困ります。また、受験者が過去の自分よりもよくなっているので「合格!」とするのも困ります。

 

​◇ 学校教育の特徴 ​③同一化、均一化 ◇

・③同一化、均一化 ~そのルーツ1~

日本人の協調性を重んじる伝統はどこからきたのでしょうか。まず日本人のルーツは、農耕民族にあります。家族やムラで協力して生産活動しなければならなかったため、狩猟民族にルーツを持つアングロサクソンと比べて、協調性が重視されるといわれます。

 

​・③同一化、均一化 ~そのルーツ2~

さらに、中国などのほかの農耕民族以上に日本では協調性が重視されます。その理由は日本の歴史にあるという説があります。日本人は、縄文人弥生人の混血だとするのが現在の定説です。海の向こうからやってきた弥生人縄文人は受け入れ、また弥生人縄文人と共存することを選んだわけです。これは稀有な例とされており、世界史では民族と民族がぶつかったとき、殺しあうか追い出すかするのが通常です。日本人は、共存し、同一化することを選んだ祖先のDNAを受け継いでいるのです。

 

​・③同一化、均一化 ~学校現場~

そして、この協調の伝統は、日本の学校でも重視されます。“みんなで力を合わせよう” “みんなで決めたことはまもろう”という声は、なんの疑問もなく受け入れられます。

 

​◇ 学校教育の問題点 ①自分の頭で考えられない ◇

・①自分の頭で考えられない ~与える教育~

上述した通り、学校教育では与える教育がメインストリームです。効率的に知識を伝達できるというメリットはありますが、自分の頭で考える習慣が身に付きづらいというデメリットもあります。

工場労働者が必要とされた時代は過ぎ去り、個人に対応するサービス産業がメイン産業となっています。さらには、情報化により知的産業の担い手がますます必要となってきます。そうすると、一人ひとりが自分の頭で考えて仕事をする必要がありますが、学校教育はそうした変化に追いついていません。

 

・①自分の頭で考えられない ~例~

答えを、先生や教科書に求める。わからないことはすぐにインターネットで調べる。正しいことは何か、友達の反応で判断する。次に自分が何を学ぶか、与えられるまで待っている。自分の進路を、周りに合わせたり、親の言う通りにしたりする…

 

◇ 学校教育の問題点 ②学習意欲の低下 ◇

・②学習意欲の低下 ~悪循環~

周りと比べる教育の結果、切磋琢磨し向上心を持って勉強できる子どもも多くいます。一方で、一度つまずくと、成績が下がる→やる気低下→勉強しない→わからない→成績が下がる→やる気低下…という悪循環に陥ってしまいます。さらに、40人一斉授業ですので、わからないまま授業は進んでいきます。わからないものは、面白くありません。

 

​・②学習意欲の低下 ~無力感~

こうして、学年が上がるごとに、学習意欲は低下していきます。「どうせおれなんか」「どうせ勉強しても」という言葉が、子どもたちから聞かれるようになります。これを学習性無力感(learned helplessness)といいます。

 

​◇ 学校教育の問題点 ◇③少数者・特徴のある子の排除

・③少数者、特徴のある子の排除 ~ヒトの本能~

そもそも“ヒト”には、異質者を排除して群れの団結力を高める本能があります。同じであることを求め、強い団結力を生み、組織・チームで大きな結果を出す。これは日本人の強みです。企業でもスポーツでも、日本の組織力は世界の第一級です。

 

​・③少数者、特徴のある子の排除 ~みんな仲良く~

学校では“みんなで力を合わせて” “みんな仲良く”が正論です。これは、子どもたちにとってストレスとなります。どうしても仲良くできない相手はいるものです。その場合、双方適切な距離をとればよいのですが、学校には“みんな仲良く”という金科玉条があり、さらに学級という物理的な制約から距離をとることもむつかしいのです。

 

​・③少数者、特徴のある子の排除 ~いじめと団結力~

この状況で、少数者や特徴のある子、目立つ子がターゲットとなり、いじめが行われます。いじめが成功しターゲットが排除されれば、次のターゲットを立てて排除する……これを繰り返します。その結果、学校に残った子どもたちの団結力・協調性は高まります。この様子を「人が怪物になる」と表現する識者もいます。

 

 

◇ レイパスの思い ◇

繰り返しになりますが、レイパスでは学校とは違った教育を提供しています。

子どもたちは、自分の学びたいことを一生懸命学びます。

その中で、未来社会で自立していくのに必要な力を身に付けていきます。