いじめ防止対策推進法第13条(学校いじめ防止基本方針)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(学校いじめ防止基本方針)
第十三条 学校は、いじめ防止基本方針又は地方いじめ防止基本方針を参酌し、その学校の実情に応じ、当該学校におけるいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針を定めるものとする。
【解説】
□ 趣旨
短く、シンプルですが、大変重要な条文です。イギリスなど、諸外国の法制度や日本国内の先進的な自治体の取り組みを参考にし、それを全国の学校へ広げていくことがこの条文の狙いです。
学校いじめ防止基本方針では、
①いじめ防止プログラム
②早期発見及び事案対処のマニュアル
が必ず、定められることになります。
教職員の多忙さは、現在社会問題としてなっています。いじめが日常的に発生し、その対処に追われていては、教職員も一人一人に向き合った真摯な対応ができなくなるおそれがあります。いじめを予防しその深刻化を未然に防ぐことによって、学校現場の教職員の負担を改善することも企図されています。
さらには、いじめの未然防止等の取り組みを、教員・児童が参加し、学校全体で計画的に行うことで、児童等の学習環境の創出にもつながると考えられています。
□ 国の基本方針による具体化
13条の規定は国の基本方針(11条により定められたもの)によって具体化されています。
上記①いじめ防止プログラム②早期発見及び事案対処のマニュアル
については、以下のような規定がなされています。
・いじめの防止の観点から、学校教育活動全体を通じて、いじめの防止に資する多様な取り組みが体系的・計画的に行われるよう、包括的な取組の方針を定めたり、その具体的な指導内容のプログラム化を図ること
・いじめの早期発見・いじめへの対処に関する取組方法等をあらかじめ具体的に定め、これらを徹底するため、「チェックリストを作成・共有して全教職員で実施する」などといったような具体的な取組を盛り込んだり、これらに関する年間を通じた取組計画を定めたりすること
・国の基本方針
□ 学校いじめ防止基本方針の策定手続き
策定の主体は、22条で定められている「学校いじめ防止組織」と想定されています。
そこに、検討の段階から、地域の保護者や児童生徒にも参加をしてもらい策定することが、国の基本方針において記載されています。
□ 公開
国の基本方針において以下のことが求められています。
・学校いじめ防止基本方針が、ホームページなどで公開されること
・地方公共団体が、その設置した学校のいじめ防止基本方針について、策定状況を確認・公表すること
・学校いじめ防止組織(22条)について、インターネット等で公開されること
従って、基本的には自分の子どもが通っている学校について、ホームページ等をチェックすることで、基本方針と組織体制を確認することができます。