いじめ防止対策推進法第23条(いじめに対する措置)4項・6項
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(いじめに対する措置)
第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。
2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。
【解説】
[4項]
□ 趣旨
児童等が安心して教育を受けられるための措置とは、具体的には、加害児童等に対する指導としての
「校長室学習」や「図書館学習」などが想定されています。
いじめ防止法では、25条において「懲戒」が、26条において「出席停止措置」が定められているところ、
この前段階として、この別室学習が規定されています。
□ 運用
このような、加害児童に対する措置は、法律の根拠もあり、学校の裁量として問題なく行えることです。
実際に私が経験した事案でも、この別室学習によっていじめが解消されたケースがあります。
加害児童側の教育を受ける権利にも当然配慮をした上で、積極的に本規定が運用されるべきであると考えます。
[6項]
□ 教育機関と警察
元来、日本の教育機関は聖域とされ、市民社会とは違う異国となっていました。
そこに、近年風穴が空けられています。
大津市のいじめ自殺事件の報道では、警察が学校へ乗り込む様子が大きく報道されました。
そして、そのような事案は増えています。
市民社会では、人を殴れば警察が来ます。
その基本ルールがようやく、学校にも適用されようとし始めています。
文科省も以下のような通知を発しています。
1.警察への通報・相談に係る基本的な考え方
(1)学校や教育委員会においていじめる児童生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難である場合において、その生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められるときは、被害児童生徒を徹底して守り通すという観点から、学校においてはためらうことなく早期に警察に相談し、警察と連携した対応を取ることが重要。
(2)いじめられている児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合には、直ちに警察に通報することが必要。
学校においてはためらうことなく早期に警察に相談とあります。
しかし、この実施は学校にとってハードルが高そうです。
そこで、状況によっては保護者が、警察への通報を求めなければなりません。
その際には、当事務所をご活用ください。
引用元
文科省:早期に警察へ相談・通報すべきいじめ事案について(通知)
(別紙1)学校において生じる可能性がある犯罪行為等について:文部科学省