いじめ防止対策推進法第15条(学校におけるいじめの防止)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(学校におけるいじめの防止)
第十五条 学校の設置者及びその設置する学校は、児童等の豊かな情操と道徳心を培い、心の通う対人交流の能力の素地を養うことがいじめの防止に資することを踏まえ、全ての教育活動を通じた道徳教育及び体験活動等の充実を図らなければならない。
2 学校の設置者及びその設置する学校は、当該学校におけるいじめを防止するため、当該学校に在籍する児童等の保護者、地域住民その他の関係者との連携を図りつつ、いじめの防止に資する活動であって当該学校に在籍する児童等が自主的に行うものに対する支援、当該学校に在籍する児童等及びその保護者並びに当該学校の教職員に対するいじめを防止することの重要性に関する理解を深めるための啓発その他必要な措置を講ずるものとする。
【解説】
□ いじめの未然防止
いじめは、いじめを受けた児童等の尊厳を害するものです。学校での教育課程の中で期待される、心身の健全な成長・人格形成が、いじめによって阻害されてしまいます。そのことから考えると、いじめは未然に防止することがまず第一となります。
いじめの背景には、
・他者の尊厳を尊重できないこと
・他者の心身の痛みに対する想像力・思いやりの欠如
・コミュニケーション能力の不足
・自分自身の健全な自尊心の発達不足
などがあると考えられています。
それらのいじめの背景となっている問題に対して、学校や教育委員会が主体となって手を打っていくことが本条の狙いです。
□ 具体的取組として想定されるもの
・直筆の手紙を使った、気持ちのやりとりによるコミュニケーション能力の涵養
・ピアサポート(同じような立場にある人によるサポート)
・人権教育
・法教育による規範意識の醸成
・いじめパトロール(児童等の自主的な活動の例)
どのような内容の取組をいじめ防止基本方針に定め、実施していくかは各地域・各学校の創意工夫に期待されています。
また、優れた取組に関しては、地域・学校に横断的に共有されるべきであるとしています。
そのような学校の枠を超えた共有は、国と公共団体の法的責務でもあります(20条)。
具体的に、文部科学省が主催した全国こどもサミットのような取組もあります。
・全国いじめ問題こどもサミット(H28)
千葉県行政書士会では、小学校において、いじめは人権侵害というテーマで法教育が実施されています。
・日本行政書士会連合会による紹介
・日本行政書士会連合会による視察レポート
http://www.chiba-gyosei.or.jp/files-usr/file_53030a9909753.pdf