不登校・苦登校支援 フリースクール レイパス

不登校と学校教育

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◇ 不登校についてのレイパスの思い ◇

不登校について調べると、その原因を探す議論が多々あります。

レイパスは、決して本人やお母さん・お父さんの問題ではないと考えます。そして、学校の先生の責任にする問題でもないと考えます。

不登校の原因を探すよりも、必要なことは不登校の子どもたちに合った教育を探すことです。

 

◇ 不登校 ◇

現在、日本では16万人をこえる子どもが不登校であるとされています。

中学校では実に100人に3.65人が不登校で、クラスに1~2人はいる計算になります。

そしてこの数は、高度経済成長期から一貫して上昇しており、今後も増加していくことが推測されます。

もはや、不登校は誰の身にも起こりうることで、特殊な事象ではありません。

 

◇ 法制度 ◇

この現状を受けて、法制度も着実に進んできています。

2016年に成立した教育機会確保法では、学校復帰だけが目標ではないことと、学校以外の教育の場も重要であることが確認されました。

また、教育機会確保法の趣旨を受け、文部科学省が新たな通達を出しました。その結果、不登校の児童生徒がフリースクールに通学した場合、もともといた(籍を置いている)学校において出席扱い・卒業を認められやすくなりました(校長の裁量)。

 

​◇ 苦登校 ◇

さらに、近年問題となっているのが、“苦登校”です。

学校にいくのは苦しい・嫌だ、でも学校を休みづらく登校している…そんな子どもたちの様子を表す言葉です。

日本財団の調査によると、苦登校の数は不登校の3倍にのぼります。

そのまま計算すると、約50万人の子どもが苦登校の状況にあるということです。

 

​◇ 不登校・苦登校の子どもたち ◇

不登校・苦登校の子どもたち ~レイパスの考え~

不登校の子どもたちに対して、批判的な目もあります。

しかし、レイパスは不登校・苦登校をそのようには捉えません。

永い人類の歴史から見れば、極めて特殊な場である“学校教育”に合わなかっただけだと考えます。だからこそ、不登校の子どもたちには、別の教育が必要であると確信するのです。

 

​・不登校・苦登校の子どもたち ~先哲の考え~

司馬遼太郎氏は小説『世に棲む日日』で以下のように書かれています。

「本来、学校というのは、平均的な青年にとって十分な意味を持っている。もともと教育という公設機関は、少年や青年というものの平均像を -あくまでもそれを- 基準とし、一定の課程を強制することによって彼らの平均的成長を期待しうるものとして、そのような想定のもとに設置され、運営されている。自然、平凡な学生の成長にとっては学校ほど -どのような学校にせよ- 有意義な存在はないかもしれないが、精神と智能の活動の異常に活発すぎる青年- 天才といっていい- にとっては、この平均化された教授内容や教育的雰囲気というものほど、多くの場合、有害なものはないかもしれない。」

 

​◇ 学校教育の特徴 ①与える教育 ◇

・①与える教育 ~受け身の授業~

40人一斉授業や全国一律の学習指導要領に代表されるように、原則として、子どもたちはあらかじめ決められた学習内容を一方向的に伝達されます。

 

​・①与える教育 ~歴史的経緯~

これは学校の成り立ちから考えると、非常に合理的な状態です。そもそも、近代教育(学校)が登場したのは産業革命以降になります。国としては、産業を興し国を発展させるため、優秀で均質な労働者を大量に生産することが必要でした。また、工場労働者が増える中で、子どもの面倒を家庭内でみることができなくなり、日中子どもを預かってくれる場所も必要でした。この要請を同時に実現するのが、学校だったわけです。そこでは、効率的に知識を伝達するため、大人数一斉授業が行われ、学習内容も偏りがないように全国で統一されたものとなりました。

 

◇ 学校教育の特徴 ②競争 ◇

・②競争 ~評価の方法~

評価の方法には、大きく絶対評価相対評価があります。

絶対評価とは、評価者が絶対的に評価するものです。例えば大学のレポートなどでは、教授が読んで「これは、合格!」「これは、不合格!」といったように、教授の中にある基準でジャッジします。一方、相対評価とは、何かと比べることで評価するもので、自分の中で比べる場合と、他者や集団で比べる場合とがあります。自分の中で比べる方法には、過去の自分との比較・自分の目標との比較(目標到達度)・自分の中での科目ごとの比較(得意不得意)などがあります。

 

​・②競争 ~他者との相対評価

このように評価の方法には様々あります。しかし、日本で評価といえば、他者との相対評価です。その最たるものが、偏差値や順位付けです。このメリットは大きく2点あり、モチベーションが上がることと、評価として公正ということです。例えば、大学の入学試験において、一生懸命努力したものが報われるという競争システムは勉強のインセンティブになります。また、点数で順位付けし、合否を決めるというシステムは、公正でわかりやすいものです。教授に独断で「うーん、不合格!」と絶対評価されるのは困ります。また、受験者が過去の自分よりもよくなっているので「合格!」とするのも困ります。

 

​◇ 学校教育の特徴 ​③同一化、均一化 ◇

・③同一化、均一化 ~そのルーツ1~

日本人の協調性を重んじる伝統はどこからきたのでしょうか。まず日本人のルーツは、農耕民族にあります。家族やムラで協力して生産活動しなければならなかったため、狩猟民族にルーツを持つアングロサクソンと比べて、協調性が重視されるといわれます。

 

​・③同一化、均一化 ~そのルーツ2~

さらに、中国などのほかの農耕民族以上に日本では協調性が重視されます。その理由は日本の歴史にあるという説があります。日本人は、縄文人弥生人の混血だとするのが現在の定説です。海の向こうからやってきた弥生人縄文人は受け入れ、また弥生人縄文人と共存することを選んだわけです。これは稀有な例とされており、世界史では民族と民族がぶつかったとき、殺しあうか追い出すかするのが通常です。日本人は、共存し、同一化することを選んだ祖先のDNAを受け継いでいるのです。

 

​・③同一化、均一化 ~学校現場~

そして、この協調の伝統は、日本の学校でも重視されます。“みんなで力を合わせよう” “みんなで決めたことはまもろう”という声は、なんの疑問もなく受け入れられます。

 

​◇ 学校教育の問題点 ①自分の頭で考えられない ◇

・①自分の頭で考えられない ~与える教育~

上述した通り、学校教育では与える教育がメインストリームです。効率的に知識を伝達できるというメリットはありますが、自分の頭で考える習慣が身に付きづらいというデメリットもあります。

工場労働者が必要とされた時代は過ぎ去り、個人に対応するサービス産業がメイン産業となっています。さらには、情報化により知的産業の担い手がますます必要となってきます。そうすると、一人ひとりが自分の頭で考えて仕事をする必要がありますが、学校教育はそうした変化に追いついていません。

 

・①自分の頭で考えられない ~例~

答えを、先生や教科書に求める。わからないことはすぐにインターネットで調べる。正しいことは何か、友達の反応で判断する。次に自分が何を学ぶか、与えられるまで待っている。自分の進路を、周りに合わせたり、親の言う通りにしたりする…

 

◇ 学校教育の問題点 ②学習意欲の低下 ◇

・②学習意欲の低下 ~悪循環~

周りと比べる教育の結果、切磋琢磨し向上心を持って勉強できる子どもも多くいます。一方で、一度つまずくと、成績が下がる→やる気低下→勉強しない→わからない→成績が下がる→やる気低下…という悪循環に陥ってしまいます。さらに、40人一斉授業ですので、わからないまま授業は進んでいきます。わからないものは、面白くありません。

 

​・②学習意欲の低下 ~無力感~

こうして、学年が上がるごとに、学習意欲は低下していきます。「どうせおれなんか」「どうせ勉強しても」という言葉が、子どもたちから聞かれるようになります。これを学習性無力感(learned helplessness)といいます。

 

​◇ 学校教育の問題点 ◇③少数者・特徴のある子の排除

・③少数者、特徴のある子の排除 ~ヒトの本能~

そもそも“ヒト”には、異質者を排除して群れの団結力を高める本能があります。同じであることを求め、強い団結力を生み、組織・チームで大きな結果を出す。これは日本人の強みです。企業でもスポーツでも、日本の組織力は世界の第一級です。

 

​・③少数者、特徴のある子の排除 ~みんな仲良く~

学校では“みんなで力を合わせて” “みんな仲良く”が正論です。これは、子どもたちにとってストレスとなります。どうしても仲良くできない相手はいるものです。その場合、双方適切な距離をとればよいのですが、学校には“みんな仲良く”という金科玉条があり、さらに学級という物理的な制約から距離をとることもむつかしいのです。

 

​・③少数者、特徴のある子の排除 ~いじめと団結力~

この状況で、少数者や特徴のある子、目立つ子がターゲットとなり、いじめが行われます。いじめが成功しターゲットが排除されれば、次のターゲットを立てて排除する……これを繰り返します。その結果、学校に残った子どもたちの団結力・協調性は高まります。この様子を「人が怪物になる」と表現する識者もいます。

 

 

◇ レイパスの思い ◇

繰り返しになりますが、レイパスでは学校とは違った教育を提供しています。

子どもたちは、自分の学びたいことを一生懸命学びます。

その中で、未来社会で自立していくのに必要な力を身に付けていきます。