動機付け・モチベーション第3回(全3回)
受験マネジメント
動機付け・モチベーション第3回(全3回)
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第1回では、Deci&Ryanの自己決定理論を紹介しました。
その中で、外発的動機付けの外的調整、つまり外から強制されて勉強していてはそのうち勉強が嫌になり、勉強をしない方向へ傾いていくという話がありました。
第2回では、その仕組みを脳のシナプスの種類分けから説明しました。
ここまでは、勉強の動機付けの問題点に触れただけです。
では、どうすれば、子どもは自ら勉強に向かうようになるのか。
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結論
結論としましては、これだといった方法はないので、愛でもって試行錯誤するしかないです。
ここまで読んで頂いた方には申し訳ないのですが、これが私の現場経験からの実感です。
どうすれば子どもは勉強するようになるのか。
その答えは、子どもの数の何倍もあります。
それは、一人ひとりが性格も環境も志望も違う1人の人間だからです。
最近は、「○○するためのたった3つのことと」か、「○○したければ、これさえしていればいい」といった安い記事が出回っていますが、全ての人に当てはまる裏技などないのです。
特に教育はそうです。
「ティファールの中の汚れをとるためにはクエン酸を入れてお湯を沸かせばいい(これは効きます)」ですとか「売上を上げたければ筋トレ(これも効きます)」といった話は、教育とは次元が違うのです。
私が指導している中でも、ある子でうまくいった方法も、別の子には使えないことばかりです。
もっと言うと、ある日うまくいった方法も、次には効果を発揮しないこともよくあります。
その場その場で、今この子にはどうすればいいのか、額に汗して考え出した方法しか効きません。
そうは言ってもある程度の方法論はあります。
そこで、汎用性が高く、応用すれば多くの子に効果がありそうな方法・例を紹介します。
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楽しい勉強・やりがいのある勉強
少し前に日本で話題になりました、ドラッカー氏の『マネジメント』からヒントを得ています。
これは仕事に関する方法論ですが、そのまま勉強に応用できます。
勉強を楽しい・やりがいがあると感じさせるためには、
①自信
②責任
を持たせることが大切です。
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まず①の自信を持たせる方法として、例えば、
・やった勉強の見える化
・テスト(できたもの)の結果の見える化
などが有効です。
私は、教え子と毎回実施している簡単なテストをグラフ化しています。
ちょっとしたことでも子どもは、喜んでくれます。渡すとすぐに壁に貼っていました。
ポイントは、はっきり目で見てわかることです。
なぜなら、自分のやってきた勉強が積みあがっていく感覚は持ちづらいからです。
モノづくりであれば、目の前に物体が出来上がっていきますが、勉強はそうはいきません。
さらに、塾の模試などは思うような結果がでないことも多いと思います。
そうすると、子どもたちは、頑張ったのに何も残っていない感覚になります。
「人間を最も苦しめるのは、頑張ったのに報われない感覚だ」
これではいけません。手ごたえが必要です。
そこで、勉強したこと・できたことを見える化してあげるのです。これが、子どもの自信につながります。
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続いて②の責任を持たせるための方法ですが、
・なにを勉強するか自分で決めさせる
ことが有効です。
子どもは、To Doリストを作ることすら知りません。
まずは作り方を教える必要があります。
毎日でもいいですし、週間で作ってもいいでしょう。とにかく、課題の決定と見える化をすることです。
また、そのTo Doリストを作るメリットもきちんと教えなければなりません。
子どもからすれば、そういった間接作業は無駄な労力と感じられます。
「そんな面倒なことする時間あったら、計算の1問でも解くわ」といった感覚です。
そこで、これはすごく大切なのだと説明する必要もあるのです。
ところで、この間接作業ですが、できるだけ本人にやらせるべきです。例えば、プリントの整理など、親がやっている家庭は本当に多いです。確かに受験は、特に中学受験は親と子どもが一緒に戦う必要があります。
しかし、間接作業は子どもがやるべきなのです。
理由は2つで、1つは教育のため。自分のことは自分でする。そうしないと、子どもが勉強を自分のことではなく、お母さんのことと勘違いします。そして、行きつく先は、お母さんのために勉強しているという錯覚です。
もう1つは、モチベーションのため。間接作業を自分で行うことで、自己管理の感覚が生まれ、勉強のモチベーションを強くしてくれます。
To Doリストも自分で作成することで、自己管理の感覚が生まれます。
この自己管理について、ドラッカー氏は以下のように述べています。
自己管理は強い動機づけをもたらす。
適当にこなすのではなく、最善を尽くす願望を起こさせる。
それに加えて、なにを行うのか任されている感覚から、自分の力が活かされる感覚が生まれ、これは自信にもつながります。
一方で、全く子どもに任せるのは危険です。
楽しいことと、楽なことの区別がついていない子どもは、つい楽なTo Doリストを作ってしまいます。
ヒントになるエピソードがあります。
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徳川家康のマネジメント
戦国時代、徳川家康はその配下の武将、本多平八郎忠勝から次のように言われています。
わが殿は、はきとしたことを申されぬお人にあれば…
戦国大名と言えば、なにをするかはっきり自分で決めていそうなイメージですが、徳川家康はそうではなかったようです。
いつも、重臣を集めて、次の手を話合わせていたようです。
しかし、実は裏があります。
徳川四天王の筆頭、酒井忠次にだけは、事前に自分の意思を伝えています。
そして、重臣たちの会議の中で、酒井忠次がうまく場をリードします。
その間、徳川家康ははっきりとしたことは言いません。
しかし、酒井忠次が、結論を徳川家康の意思の方へと導くのです。
このようにして、配下の武将たちは、自分たちで決めたことだという感覚を持ちます。
そうすれば、ただ徳川家康に命じられるよりも、戦に向かう納得感や責任感が生まれます。
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最後に。
今回のテーマとして、できるだけ子どもに楽しく勉強してもらうための工夫をお伝えしてきました。
一方で、強制されて無理やり勉強させられる経験も必要です。
その経験がない人間は、社会に出てから使いものになりません。親の言うこと(命令)に従う(服従する)ことも、受験勉強を通して教えたい大切な美徳です。
旧帝国陸軍の反省からか、「命令に対する服従」と言われるとアレルギー反応を起こす人もいますが、これは社会に出る前に身に着けておきたい、精神ステージの高い者のもつ能力です。
何事もバランスです。子どもの気持ちいいことだけというわけにはいきません。
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今回紹介した方法は汎用性が高いものですが、個別の修正をして実施しなければ効果を得られないかもしれません。
その相談・指導が必要であれば、郷原行政書士事務所を頼ってください。
お力添え致します。