動機付け・モチベーション第2回(全3回)
受験マネジメント
動機付け・モチベーション
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前回、Deci&Ryanの自己決定理論を紹介しました。
その中で、怒られるのが嫌だから勉強する子と、将来のため・今やるべきことだから・単純に楽しいからといった動機で勉強する子では、たとえ同じ成績だとしても、脳に大きな違いが生じているということを指摘しました。
今回はその詳細を紹介します。
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そもそも人の脳はどうなっているのか
脳を考えた場合に、脳細胞などハードの面では同じような仕組みをもっています。
それにもかかわらず、人それぞれに個性が生まれるのはなぜでしょうか。
記憶もそうですし、思考の癖、性格…あげればきりのない違いが人にはあります。
それは、脳細胞(ニューロン)の結合の仕方(シナプス)に違いがあるからです。
参考にニューロンのイラストです。
この脳細胞は、電気的刺激を受けると、他の脳細胞へと神経伝達物質を送ります。そこで脳細胞と脳細胞は、シナプス間隔という隙間をあけて接続されます。
この部分をシナプスといいます。こちらも、なじみのある単語だと思います。
約140憶個のニューロンが、1個あたり約8000のシナプスを形成します。その数、約112兆です。
そのほとんどが、幼少期から青年期にかけて形成され、その人の人格を形成していきます。
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促進シナプスと抑制シナプス
そしてその形成されたシナプスには、大きく2種類のシナプスがあります。
①促進シナプス(興奮性)
②抑制シナプス(抑制性)
です。
①促進シナプスは、アセチルコリンやグルタミン酸といった神経伝達物質が伝達されることで形成されていきます。
外部からの刺激に対して、前向きな気持ちが生まれ、行動に移りやすくなります。
お母さんが新しいテキストを提案したら、「あ、面白そう」「やってみようかな」と思うような子どものイメージです。
②抑制シナプスは、GABAやグリシンといった神経伝達物質が伝達されることで形成されていきます。
外部からの刺激に対して、後ろ向きな気持ちが生まれ、行動を控える方向に傾きます。
お母さんが新しいテキストを提案したら、「面白くなさそう」「やっても成績あがるんかなぁ…」と思うような子どものイメージです。
そして、するしないといった決断は、0:100で決まるのではなく、49:51といった微妙なバランスで決まるというところがポイントです。
何をいっても、「でも…」といってやらない人でも、脳内は促進シナプスも抑制シナプスも存在していて、ぎりぎりのバランスで抑制されているということです。
すなわち、日々の少しの心がけで、子どもの脳を促進シナプス優位の、前向きな脳にすることが可能だということです。
一方で、抑制シナプスが開発されて、勉強を嫌々やっている子どもは、いずれ勉強をしない方へ傾きます。そして、その脳のまま社会に出てしまうと…
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次回は、最終回として、ではどうすれば促進シナプスの開発が進み、自主的に勉強するのか。子どもを、自ら進んで勉強するように仕向ける、仕掛け・取り組み・メソッドを紹介します。
(実学として受験マネジメントに必要なレベルでの記述になります。細かな部分で正確性を欠くところもありますが、ご容赦ください。)