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いじめと隠蔽 いじめ防止対策推進法第23条(いじめに対する措置)1項・2項

いじめ防止対策推進法解説

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【条文】

(いじめに対する措置)
第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。
2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。


【解説】

具体的に、学校等に何が要求できるのかという視点から見ると、本条文が最重要と言えます。

概観しておくと、

①学校への通報等​

②いじめの事実の有無の確認

③被害児童等への支援及び加害児童への指導等

④児童等が安心して教育を受けられるための措置(別室学習)

⑤被害・加害保護者間における情報共有のための措置等

⑥警察への通報

と順番に定められています。

そして、実際にこれらの措置を実行する主体が、22条組織(学校いじめ対策組織)となります。

[1項] 学校への通報等​

□ 主体

通報に関しては、

①学校の教職員

地方公共団体の職員

③その他児童等からの相談に応じる者

④児童等の保護者

が挙げられています。

□ 行為

学校への通報が、明示されていますが、これは適切な措置の例示であるとされています。

従って、一律に学校への通報が義務づけられているわけではありません。

被害児童の尊厳を守るために、学校への通報に代わる何か別の方法が必要であると考えた場合は、

学校への通報はせず、その他の適切な措置をとらなければりません。

□ タイミング

いじめの事実があると思われるときが明示されています。

これは、

①いじめが疑われる事実を認識した場合

②いじめであるか迷っている場合

のどちらも含むものです。

従って、いじめの事実があると確信するに至らなくとも、直ちに通報(又はその他適切な措置)を行わなければなりません。

[2項] いじめの事実の有無の確認

□ 主体

これは、学校いじめ対策組織(22条組織)です。

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□ 方法

①関係する児童等への聴き取り

②質問票を使用した調査

③その他

が考えられます。

この点、いじめ防止対策推進法案に対する附帯決議 (平成25年6月20日 参議院文教科学委員会)があります。

 

五、いじめの実態把握を行うに当たっては、必要に応じて質問票の使用や聴取り調査を行うこと等により、早期かつ効果的に発見できるよう留意すること。

□ 確認後の報告

いじめの事実の有無(当然、ないと判断した場合も)については、学校がその設置者教育委員会)に報告する義務があります。

これによって、学校単位での隠蔽を防ぐことも狙いの1つにあります。

 

 

※今週、神戸市教育委員会による、いじめに関するメモの隠蔽が報道されています。

 法律ができ、それに従ってよりよい(少しでもマシな)学校を造りあげていこうとしている中で、本当にがっかりさせられる事件です。特に関係するご遺族の方の心中は私の思い至る範囲ではないと思います。

 改めて、市民が行政機関(さらには教育機関)を監視し、導いていかなければならないという思いを強くします。

 行政を動かし、正しい方向へ導くには法律の知識が不可欠です。それを提供するのが、私の役割です。

 

 

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