いじめ防止対策推進法第5条(国の責務)、第6条(地方公共団体の責務)、第7条(学校の設置者の責務)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(国の責務)
第5条 国は、第三条の基本理念(以下「基本理念」という。)にのっとり、いじめの防止等のための対策を総合的に策定し、及び実施する責務を有する。
(地方公共団体の責務)
第6条 地方公共団体は、基本理念にのっとり、いじめの防止等のための対策について、国と協力しつつ、当該地域の状況に応じた施策を策定し、及び実施する責務を有する。
(学校の設置者の責務)
第7条 学校の設置者は、基本理念にのっとり、その設置する学校におけるいじめの防止等のために必要な措置を講ずる責務を有する。
【解説】
□ 第5条の主体
教育基本法第16条2項にあるように、児童等の教育に最終的に責任を有するのは国です。
(ということは当然、私たち国民が最終的な責任を持っているのです。サン・テグジュペリさんの言葉を借りれば、『人間であるということは、とりもなおさず責任を持つということである。』責任があることは、誇り高いことであるのです。
主権者としての責任とプライドを理解した上で、私たちが、法律を使い、行政を動かしていかなければなりません。
そのことを背景に持ちながら、ここでは教育行政の最終責任としての国の責務を考えます。)
学校や教育委員会によるいじめの隠蔽等不適切な対応が問題になるなか、いじめについて学校にのみ責任があるわけではなく、社会全体でその対処の責任を担うべきであり、その先頭に国が立つことを規定しています。この条文と第11条に従って、国のいじめ防止基本方針が策定されています。
参考)
・教育基本法第16条2項
国は、全国的な教育の機会均等と教育水準の維持向上を図るため、教育に関する施策を総合的に策定し、実施しなければならない。
引用元
・e-Gov
・国のいじめ防止基本方針、文部科学省
□ 第6条の主体
学校設置主体としての都道府県又は市町村(その教育委員会)だけを指すのではなく、首長(知事や市長など)やその補助機関も含む、地方公共団体全体を主体としています。
いじめの問題には地域性もあり得ることから、地域の状況に合わせた施策を実施することが求められています。この条文と第12条に従って、多くの地方公共団体で地方いじめ防止基本方針が定められています。
参考)
大津市いじめ防止基本方針
□ 第7条の主体
学校の設置者とは、
公立学校 → 教育委員会
私立学校 → 学校法人等
国立学校 → 国立大学法人
となります。
公立学校の場合、地方公共団体が第一義としての主体ではありますが、地方教育行政の組織及び運営に関する法律により、学校の設置管理に関する事務は、教育委員会が行うこととされています。そのため、学校の設置者は教育委員会と考えて問題ありません。