いじめ防止対策推進法第2条(定義)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(定義)
第2条
この法律において「いじめ」とは、児童等に対して、当該児童等が在籍する学校に在籍している等当該児童等と一定の人的関係にある他の児童等が行う心理的又は物理的な影響を与える行為(インターネットを通じて行われるものを含む。)であって、当該行為の対象となった児童等が心身の苦痛を感じているものをいう。
2 この法律において「学校」とは、学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第一条に規定する小学校、中学校、高等学校、中等教育学校及び特別支援学校(幼稚部を除く。)をいう。
3 この法律において「児童等」とは、学校に在籍する児童又は生徒をいう。
4 この法律において「保護者」とは、親権を行う者(親権を行う者のないときは、未成年後見人)をいう。
【解説】
□ いじめの定義
以前、記述しましたように、いじめの定義については変遷から捉えることが大切です。
それは、いままでどのような行為がいじめとして認められず、見逃されてきたのかがわかり、
そこをどのように克服しようとしたかが読み取れるからです。
よろしければブログの記事を参考にしてください。
□ 「心身の苦痛を感じているもの」
この定義から分かることは、被害児童の主観によっていじめかどうかが決せられるということです。被害者の目線から、いじめの範囲をできるだけ広く取るべきという考えからこのような定義となっています。
なお、いじめの認定については、「学校におけるいじめの防止等の対策のための組織」(22条、以下学校いじめ対策組織)が行うことが想定されています。
従って、いじめの調査・対処を学校に対して要求した場合、最初の窓口は担任の先生や校長となるかも知れませんが、いじめの認定は1教員が行うものではなく、学校いじめ対策組織が行うことになります。
また、一般的に心身の苦痛を感じないと思われる行為(じゃれあいの常套句や何気ない接触)であっても、それを受ける児童等が苦痛を感じていれば、当該行為はいじめと認定されることになります。
さらには、主観だけで判断されるわけではなく、客観的な要素から総合的にいじめを認定することも想定されています。例えば、本人がいじめを否定(苦痛を感じていないと主張)している場合でも、行為の態様や周囲のの様子、本人の様子、身体上の痕跡などから、いじめと判断する必要があるケースもあります。
また、インターネット等への書き込みで、本人がその存在を全く認識していない場合でも、内容によってはいじめと認め、対処させるべき場合もあります。
このように、できるだけいじめを広く認定できるよう考えられています。
一方で、例えば、好意から行ったことが意図せず相手方の児童等に心身の苦痛を感じさせてしまった場合にまで、いじめと認定し、厳しい指導があるようなことはさけられるべきと考えられています。
国の基本方針には、そのような場合、「学校は、行為を行った児童生徒に悪意はなかったことを十分加味したうえで対応する必要がある」としています。
□ 国の基本方針において、いじめの態様を以下のように示しています。
冷やかしやからかい,悪口や脅し文句,嫌なことを言われる
仲間はずれ,集団による無視をされる
軽くぶつかられたり,遊ぶふりをして叩かれたり,蹴られたりする
ひどくぶつかられたり,叩かれたり,蹴られたりする
金品をたかられる
金品を隠されたり,盗まれたり,壊されたり,捨てられたりする
嫌なことや恥ずかしいこと,危険なことをされたり,させられたりする
パソコンや携帯電話等で,誹謗中傷や嫌なことをされる 等
引用元
・文部科学省、国の基本方針