いじめ防止対策推進法第1条(目的)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(目的)
第1条
この法律は、いじめが、いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害し、その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるのみならず、その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであることに鑑み、児童等の尊厳を保持するため、いじめの防止等(いじめの防止、いじめの早期発見及びいじめへの対処をいう。以下同じ。)のための対策に関し、基本理念を定め、国及び地方公共団体等の責務を明らかにし、並びにいじめの防止等のための対策に関する基本的な方針の策定について定めるとともに、いじめの防止等のための対策の基本となる事項を定めることにより、いじめの防止等のための対策を総合的かつ効果的に推進することを目的とする。
【解説】
□ 被害児童等の目線
目的条項ですので、この法律が何のために存在し、内容がどのようなものかの概要を示しています。
大切なのは、被害児童等の目線に立っているという点です。
被害児童等の目線から、いじめとは、
①いじめを受けた児童等の教育を受ける権利を著しく侵害するものであること、
②その心身の健全な成長及び人格の形成に重大な影響を与えるものであること、
③その生命又は身体に重大な危険を生じさせるおそれがあるものであること
を指摘しています。
□ 児童等の尊厳の保持
「児童等の尊厳を保持するため」との記述から、
いじめが人間の尊厳を害するものであるとの考えが背景にあることが伺えます。
このように目的条文において、日本国憲法の目的であると同時に核心的価値である個人の尊厳の保持が具体的に現わされていることから、この法律の解釈・運用において児童等の尊厳の保持が基礎に置かれることとなります。
□ 防止等の意味
いじめ防止対策推進法という名称ですが、対策の3本柱が、
①未然防止
②早期発見
③対処・措置
であることも示されています。