動機付け・モチベーション第1回(全3回)
受験マネジメント
動機付け・モチベーション
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受験勉強の業界に携わる中で、一番悩むのが勉強のモチベーションコントロールです。
自分自身の勉強ですら、難しいものです。
まして、他人の心を動かして勉強に向かわせるのは至難の業です。
私のノウハウ、また、思いを記すことで、子どもを勉強に向かわせることに日々格闘しているお母さん・お父さんの一助になれば幸いです。
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Deci & Ryanの自己決定理論
まず初めに、動機付けに関して有名な理論・分類を紹介します。
それが、Deci & Ryanの自己決定理論です。
下図をご覧ください。
まず大きく、内発的動機付けと外発的動機付けに分けられています。
内発的動機付けは、自分の内から湧き出る動機付けです。行動そのものが目的とよく説明されています。
外発的動機付けは、外からの働きかけによって引き起こされるものです。行動は手段であり、何かを得る目的が別にある場合です。
そして、もう1層下の分類が、次の6つです。
①知的好奇心充足
こちらは、例えば「勉強そのものが楽しい!面白い!」というものです。
②その他欲求充足
内発的動機付けの中で、知的好奇心以外の欲求はこちらに入ります。
例えば、「もっとできるようになりたい」「もっとがんばりたい」「自分で決めたことは守るぞ」といったものです。
③統合的調整
こちらは少しわかりにくいですが、「勉強こそ、今の私がやるべきことだ」「学生のうちは勉強するべきでしょう」といったイメージです。
④同一化調整
統合的調整より1段低いものとして位置づけられています。「将来役に立つから」「医者になるために必要だから」
⑤取り入れ的調整
「みんなやってるから」「宿題として出たから」といった例が挙げられます。“仕方なく”というイメージになります。
⑥外的な調整
こちらが、もっともレベルの低い動機付けとされています。「勉強しないと親に怒られるから」が代表例です。
このように整理してみることは大変有意義です。
いかでしょうか。⑥の外的な調整のみになっていませんか?
一般的には、この⑥外的な調整が多くなるほど、①知的好奇心充足や②その他欲求充足といった内発的動機付けが減少すると言われています。
できれば、⑥から少しでも上にあげて、積極的に自主的に楽しく勉強してもらいたいと思われていると思います。
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現実の子どもの複雑さ
さて、学者の仕事はここまでです。
私たちは、個別具体的な生身の子どもと向き合わねばなりません。
子どもの心はもっと複雑です。
最近前向きに勉強するようになったと思ったら、翌日にはいつまでもソファーでごろごろしている…
子どもの心は、コロコロ変わります。
また、ある一瞬の子どもの心を見ても、「怒られるから」という動機付けのみで動いているわけではありません。
①~⑥が、混在しているのが現実です。
それをできるだけ細かく観察して、少しづつ⑥や⑤を減らして④、③、②、①へと高めていく必要があります。
その必要があるのは、少しでも楽しく自主的に勉強してもらうためだけではありません。
実は、⑤や⑥ばかりの子どもと、①②③がメインの子どもでは、仮に成績が同じだとしても、脳に決定的な違いが生まれているのです。
それは、脳の回路(シナプスの結合)の違いです。
次回は、シナプスの話を書きます。
なにを言われても、「でも…」と言ってしまう大人がいると思います。一方で、「まずやってみようかな」と思う人も。
その違いは、この子どもの頃の勉強の動機付けが、⑥よりなのかそれとも①よりなのかによって大きく規定されていたのです。
そして最終回では、子どもが少しでも自主的に勉強するようになる工夫・仕掛けについて書きます。
勉強とランニング
受験マネジメント
ランニングと勉強
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効果:ランニングが勉強に与える効能がわかる
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今回は少し箸休めです(次回から受験の最大テーマ、やる気を扱います)。
適度な運動が脳の活動を活発にすることはよく知られています。
特に、経営者はよく走ると言われます。
アップルコンピュータやマクドナルドで経営をされた原田泳幸さんが、日課としてランニングをされていて、東京マラソンにも出場されていることは有名です。
受験マネジメントとしては、走ることが脳にどのような影響を与えるのか、そして、それが勉強に役立つのか検討していきます。
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大脳の4つの部屋と領域
大脳は大きく4つの部屋に分けられています。
①前頭葉:精神活動、運動性言語
②頭頂葉:感覚、味覚
③側頭葉:聴覚、嗅覚、感覚性言語
④後頭葉:視覚
さらにそれぞれに領域があります。
その中でももっとも人間的活動を規定しているのが、前頭葉の前頭連合野です。
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前頭連合野
前頭連合野は、人間の脳の進化において最後に発達したと言われています。
ここは、思考・学習・推論・情操などを司っています。
特に勉強に関連して言うと、その日何をどんな順番で勉強するかという計画を立てたり、実際に問題を解いていく高度な思考の統合、そしてモチベーションを高めるやる気もここにかかわってきます。
そして、ランニングをすることによって、前頭葉が、その中でも前頭連合野が活性化することが分かっています。
ちなみに、ランニング以外の運動ではどうなのか。
例えば、ウォーキングやジョギングではこの前頭葉、前頭連合野はそれほど活発にならないようです。
個人差はあるようですが、目安として、時速7~10km程度の速さで走ると、前頭葉、前頭連合野が活性化するようです。
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ランニングによって分泌されるホルモン
ランニングの効果は、前頭連合野を活性化させるだけではありません。
人の心を左右する神経伝達物質(脳内ホルモン)がランニングによって分泌されます。
その代表的なものを紹介しますと、
①ノルアドレナリン
不安と関連して紹介されることの多いこのノルアドレナリンですが、人の注意力・集中力を高める働きがあります。
走り始めると、早い段階でこのノルアドレナリンが分泌されます。
②ドーパミン
やる気ホルモンとしておなじみのドーパミン。学習意欲・喜びにつながります。
こちらは走り始めて少ししてから、分泌されてきます。
③セロトニン
安心ホルモン。精神を安定させる働きがあります。
こちらは、一定のペースを守って走ることにより分泌を促すことができます。
そのほか、様々なホルモンの働きによって、ランニング後の仕事・勉強のパフォーマンスが上がります。
その実感があるからこそ、経営者やできるサラリーマンほどよく走るのでしょう。
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瞑想と似た効果もある?
ランニングの目的として、脳を活性化させることがよく言われます。
一方で、脳がすっきりする、整理できる、リラックスできるという声もあります。
上述の脳内ホルモンとの関連がありそうですが、それだけではなさそうです。
実は、ランニングには瞑想に近い脳の状態をもたらす効果があるのではないかと言われています。
近年、アメリカからの逆輸入という形で注目されている瞑想。
瞑想の最中、脳ではベータ波が減少しています。つまり、情報処理を行う量が減少しているのです。
そうして一旦情報処理を停止させた脳は、その後高い集中力を発揮します。
これと似た効果が、ランニングでも確認されてます。
一定のリズムで呼吸して、走ることだけに集中する…
これによって、瞑想に近い脳の状態になっているようです。
勉強のパフォーマンスを向上させるために、瞑想は間違いなく効果的です。
しかし、小学生に「5分間目をつむって座って、頭の中を空っぽにしなさい」といったところで、瞑想状態を実現させるのは難しいでしょう。
一方、ランニングであれば瞑想に近い脳の状態を小学生でも作り出せます。
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最後に
勉強を頑張ったから、休憩時間にテレビをみたりスマホを触ったりする子どもは多いでしょう。
しかし、それは休憩ではありません。脳を使って確実に疲労させます。
テレビやスマホをなしにできれば話は早いですが、簡単にはいきません。それに、娯楽によって脳が快感を得るのであれば、それも勉強に必要なことと考えられます。
ポイントは、勉強→テレビ・スマホ(=休憩)→勉強→…では、勉強の効率が落ちるということです。
そこで、勉強→テレビ・スマホ→瞑想・ランニング(=脳の休憩)→勉強→…にするのです。
たとえ勉強時間が10分や30分減るとしても、残りの勉強時間の質のために瞑想・ランニングをするべきでしょう。
そうはいっても時間が、と思われる方は多いと思います。
例えば、体育のない日にだけ実施するですとか、学校が休みで塾もないという日にだれないようにランニングを取り入れてみるですとか、とにかく1度やってみることが大切です。
やっぱりランニングは大切なんだなと思っても、実際に行動に移す人は5%ほどと言われます。
その5%に入れば、それだけで合格に近づくと思いませんか?
欲望の資本主義と人類の知性
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前回のブログ、欲望の資本主義に食われる子どもたち(スマホ利用による子どもの脳への悪影響)について、友人達から思考を進めるための助言をもらいました。
前回は、一方の立場(親・未来の日本の立場)から主張のみを展開したにとどまりましたので、今回はもう少し踏みとどまって思考したいと考えます。
まず、子どもに対してスマホを販売する人、その利用を促進する人がいるのは事実です。そして、その行為は確実に子どもたちの脳へ悪影響を与えています。
この行為について、是非を考えます。
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まず、経済の観点から
合理的判断によって、自組織の資本を拡大し、利益を生み出すことはシンプルに良い行為です。
なぜなら、その行為は他の人の役に立ちます。そして社会は、その行為の積み重ねによって発展してきました。
特に、未開拓の市場を見つけ、そこに既存製品を売ることは、全く新しい製品を発明・開発することと同じくらい高度なイノベーションと言われています。
従って、未成年者に対してスマホを販売することや、ゲーム・動画視聴をさせることは、社会の発展に寄与し、かつイノベーションとして称賛されます。
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続いて、法律の観点から
未成年者も法定代理人(多くの場合その両親)の同意を得て、スマホの契約ができます。その支払いは親が負担することも多いでしょうが、課金等も行うことも可能です。
そして、それらを禁止する法律はありません。
誰に何を売っても自由な社会です。当たり前ではないかと思われるでしょう。しかし、例えば酒やたばこは未成年者の使用・未成年者への販売が規制されています。
未成年者のスマホ使用を法律で禁止・制限するかどうかは、私たち国民次第です。
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最後に、倫理的観点から考えます
倫理は、道徳とは違います。そしてもちろん法律とも違います。
個人個人にその判断が委ねられます。個人の中にある善悪の判断、どのような行いが徳が高いか…
私の倫理感覚としては、例えばソフトバンクに、
「未成年者への悪影響が懸念されるため、我社は自主的に、未成年者へのスマートフォンの販売を控えます」
くらい言ってほしいです。
この発想が、徳治経営です。
ちなみに、もしソフトバンクがそう発表したら、私はそんなソフトバンクを応援するために、auからソフトバンクに乗り換えます。
このような行動は、市民が企業を育てるという現代の流れに適合しているようにも思います。
資本主義社会を次のステージへ進めるためには、市民が賢くなるしかないと言われていますね。
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では、企業が自らの利益よりも他者の(ここでは子どもの)利益を優先することは実現されるのか。
ヒントになりそうなエピソードが、ここ滋賀県にあります。
400年前の話ですので、資本主義社会とは異なりますが示唆に富んでいます。
それは、近江聖人と呼ばれた中江藤樹先生のエピソードです。
中江藤樹先生は、病の母の側にいるため藩の職を辞そうとして、結局脱藩することになります。
その後、近江に帰り、日々の収入を得るため酒の販売を始めます。また私塾も開きました。
その酒の販売の仕方が次のようなものでした。
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その日の畑仕事を終えた農民が、酒を買いに来ます。
中江藤樹先生は、一人ひとりからその日の仕事の話を聞き、その労働に見合った量の酒を販売します。
たくさん売り上げることなど、もちろん考えません。その人に販売すべき量を販売するのです。続いて、塾での教育がその村に浸透すると、酒の販売を無人販売とします。
農民たちは、自分で自分のふさわしい量を考え購入します。そして、無人の販売所に、料金を納めます。
月末に、中江藤樹先生が酒の販売量と売上金額を確認して、ずれがあったことは1度もなかったと言われます。また、この村では、落し物が持ち主のもとに返らなかったこともないと言われます。
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このあたり、世界から称賛される、日本人の徳の高さに通じますね。
もう一つ円福寺での老子のたとえ話を紹介します。こちらは有名ですね。
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確かにあの世には地獄もあれば極楽もある。しかし、両者には想像していたほどの違いはない。
ただ一つの違いは、そこにいる人たちの心なのだ。地獄にも極楽にも、同じ大きな窯がある。そこでは、うどんが煮えている。
ところが、うどんを食べるには一苦労。長さが1mもある長い箸を使うしかない。地獄に住んでいる人はみな、自分が先に食べようと我先にとうどんを掴みますが、箸が長くうまく口に運べない。
しまいには他人のうどんを奪おうとして争いになる。だれもうどんは食べられず、飢えて痩せている。一方、極楽に住んでいる人は、「あなたからお先にどうぞ」と、相手に食べさせてあげる。
そうすると「では、お返しに」と、相手が自分に食べさせてくれる…
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私たちの社会は、地獄とそっくりではありませんか?
まず自分が得をすることを考える。でもうまくいかない。他人が羨ましい。
もっと欲しい、もっと楽をしたい、もっと楽しいことを…
資本主義社会は、不足した社会と言われます(見渡せば物であふれているのに!)。
新しいアイフォンがほしい、新作のコートがほしい、もっと収入がほしい、もっと売り上げを上げろ、、、
だれもかれもが飢えているのです。
(その欠乏・欲望が社会発展の原動力でした。これからは、欲望ではなく徳によって社会を発展させるということを稲盛和夫先生は仰っています。例えば、GDPは変わらなくても、その中身は新しいビジネスが起こり新陳代謝が行われていく社会…。その原動力は「純粋に他の人の役に立ちたい」といったものです。)
一方で、極楽と同じような出来事も見られます。
私は、そこに人類の次の社会への光を見ます。
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子どもの利益を優先するように企業・情報発信者をコントロールするには?
法によって規制するという可能性を上述しました。
法の本質は、強制力を伴ったルールです。
強制力とは、罰則のことです。そして、その罰則を実現するため背後にある武力(警察・軍隊)です。
(当然、法律を守る理由は罰則を受けるのが嫌だからだけではありません。それでも本質は罰則にあります。)
このように書きますと、法(強制されるルール)にしなければ従わないのは、大変幼稚だと感じませんか?
まるで、放っておくと子どもが勉強しないので、罰として「勉強しないとお菓子抜き!」と言っているようです。
様々な文脈で、人類はいまだ幼年期と言われます。
今回の思考の文脈でいえば、資本の極大化を目指し、その手段として自身の利益を考える経済体制も、武力を背景に強制することでしか人を導けない法も、幼稚です。
企業が徳治経営に目覚め、市民がそれを後押しする。
その元は、個人個人の倫理意識・徳の高さにあります。
そして、実現の唯一の方法が、教育です。
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今私たちになにができるのか?
話を戻します。前回以下のような例を挙げました。
・学割といって、早くからスマホを持たせて青田買いを狙う通信会社
・ゲームに夢中になって、たくさん課金してほしいゲーム制作会社
・アプリをダウンロードしてほしいネット産業関連会社
・閲覧数、いいねが欲しいユーチューバーやSNSの民
彼らは、子どもに対する悪影響を考え、自主的に制限をかけなければなりません。それをせず、子どものうちからたくさん利用してもらい、大人になっても利用してもらおうなどと考えているとしたら、
その行為には大義がありません。徳の低い行為です。
欲望の資本主義社会を次のステージへ進める唯一の方法である教育。教育には時間がかかります。企業や情報発信者が目覚めるまでは今しばらく時を要します。
スマートフォンの利用による子どもの学力への悪影響を避けるべく今すぐ行動できるのは、ご両親しかいないのです。
欲望の資本主義に食われる子どもたち ~子どもにスマホを与えないでください~
受験マネジメント
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効果:子どもにスマホを与えることによる悪影響と、子どもを守るために戦うべき相手がわかる
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はじめに、私が先日読んだ本を紹介させてください。
『やってはいけない脳の習慣』川島隆太監修、横田晋務著
こちらは、東北大学と仙台市が連携して調査した7万人×7年間のデータをもとに、
スマホを使用することによる子どもの脳への悪影響について書かれた書籍です。
グラフ等を引用することはできませんが、問題認識を共有したいと思います。
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私が理解した結論を以下に書きます(分かりやすいように、本書より強調した表現をとっています)。
・スマホを長時間使用する子どもは、学力が低い
・スマホを使用しない(短時間のみ使用する)子どもは、学力が高い
こちらは、周知の事実だと思います。
そして、その理由は、スマホをたくさん使用する子どもは、勉強時間が短いからだとされてきました。
この理由がどうやら違うようなのです。
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問題は、次の事実です。
・スマホをたくさん使用するが、勉強もしっかりする子ども(Aさん)と、スマホを使用しないが、勉強もあまりしない子ども(Bさん)
では、後者(Bさん)の方が学力が高い傾向がみられた
ここから、書籍ではスマホを使用することによって、勉強の効果が消えたと仮説を立てています。
そしてさらに怖い事実があります。
・スマホをたくさん使用していた子どもが、スマホの使用を制限しても学力はあがらない
ひとたび、スマホにどっぷり浸かってしまうと、もう勉強が頭に残らないのです。
その理由として、MRI等を使用して、脳の発達を確認しています(ここから対象は、ゲーム・テレビも含まれます)。
そして分かったことは、スマホ、ゲーム、テレビをたくさん使う(する、見る)子どもは、言語や意欲に関する脳領域の発育に遅れがみられるということです。
その他にも、集中力の低下などが悪影響として顕著にみられています。
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対策は、
・スマホを与えない
・スマホを既に与えているなら、スマホを取り上げるのではなく、一緒にルールを作って使用時間を短縮する
とされています。
私が気になったのは、本書の「はじめに」の部分で、
この発表が何度もメディア等によって封殺されてきたということが記されていたことです。
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なぜ、この発表は封殺されるのか。
最大の問題は、子どもが賢くなると困る大人がいるということです。
・学割といって、早くからスマホを持たせて青田買いを狙う通信会社
・ゲームに夢中になって、たくさん課金してほしいゲーム制作会社
・アプリをダウンロードしてほしいネット産業関連会社
・閲覧数、いいねが欲しいユーチューバーやSNSの民
子どもを賢くする生産的コンテンツもあります。
しかしほとんどが、ただの消費的エンターテインメントです。
彼らにとって、子どもは自分たちのビジネスのターゲットです。
資本の極大化を狙う社会では、合理的行動です。
が、これには歯止めをかけねばなりません。
子どもは国の宝です。子どもをアホにして食い物にするビジネスには大義がありません。
※先日ある中学生が、(彼も昔You Tubeに夢中だった)
「ユーチューバーがしょうもないのはわかった。あれが面白いのは小学生まで」
と言っていたのを聞いて、少し安心しました。
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子どもを食い物にしていると言えば、学校もそうです。
・新しい食堂ができました。
・芝生のグラウンドがあります。
・校舎を立て替えました。
挙句の果てには、
・給食をホテルのシェフが作ります
そういった物質的・表層的なことで子どもを釣る学校が本当に増えてきました。どこも少子化で、児童数確保に必死なのでしょう。
その中で、生じた問題が、子どものお客様化です。
お客様は神様だとすれば、今や子どもは神様です。
これで、健全な子どもが育つはずがありません。
世の中自分の思い通りになると勘違いさせられてしまったかわいそうな子どもが増えています。
決して子どもを、お客様として接待してはならないのです。
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スマホ中毒の大人たち
話をスマホに戻します。
子どものスマホ使用に歯止めがかからない理由として、企業が子どもにスマホを持たせようとしていることに加えて。大人のスマホ中毒が考えられます。
電車の中で、その異様さが顕著に観察されます。
誰もが、熱心に画面だけを見ている。
もちろん、仕事・勉強にスマホを使用している人もいます。
しかし、大多数がアニメやゲーム、漫画、そしてLINEやその他SNSです。
子どもは朝早くから学校へ行き、夜遅くまで塾で勉強しています。
その帰りの電車で、周りの大人のほとんどが一心不乱にスマホを見ています。
その状況で、子どもに対して「子どもはスマホ禁止」と言えるでしょうか?
多少の息抜きは必要です。が、今の日本人のスマホ使用は度が過ぎます。
このブログの読者は、教養水準・知性水準の高い方が多いです。そこで言うのも違うのですが、書きます。
「電車でスマホばかり触るな。子どもの教育に悪い!」
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ここまで子どもの学力向上のために、スマホ使用を控えるよう書いてきました。
しかし、子どもの学力は向上させなければならないのでしょうか?
勉強はできないといけないのか?
もっといいますと(ストレートに書きます)、
アホになる自由もあるのではいか?
「おれはゲームしたいねん。アホでいいねん」と言う子どももいます。それを尊重する親もいます。
アホになって、将来就きたい仕事に就けず、悲しい思いをするという結果を背負うのは自分だから勝手にすればいいと、
自己責任だからいいのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、断言しておきます。
アホになる自由はありません。
なぜかを話す前に、横山光輝氏の漫画『三国志』第60巻(最終巻)から1シーン紹介します。
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三国(魏呉蜀)の中の、蜀。
その祖が三国志の主人公、劉備玄徳です。
劉備玄徳の死後、蜀は状況が悪化し、劉備玄徳の子、劉禅は降伏を決めます。
それをその子劉シン(言+甚)(劉備玄徳の孫)が諫めます。
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「よし使者を出せ。身分を保証するならば降伏すると」
「それはなりませぬ。」
それは第5子、劉シンであった。
「おう劉シン。そちになにかよい知恵があるか」
「お父上、わが蜀の精鋭はまだ剣閣で健在にございます。ここで頑張れば剣閣の精鋭が駆けつけましょう。内外から攻めれば勝利はこちらにございます」
「戦う?馬鹿を申せ。わが国の城は次々と落とされているのじゃ。勝てるわけはない」
「もし運尽きて敗れましても、潔く戦って死ぬならば、地下の先帝(劉備玄徳)も評してくださりましょう」
「だまれ。そちのような小わっぱに天の時がわかるか」
「お父上。この国をみながどれほど苦労して造ったか、お考え下され」
先帝をはじめ
丞相(諸葛良孔明)
関羽
張飛
趙雲
馬超
黄忠
「その他諸々の将兵が死をかけて築いたものにございます。
それを…それをたった1日で…たった1日で捨てられますのか
それでは国のために死んでいった将兵があまりにもあわれすぎまする
なにとぞ最後の一兵まで…」
「だまれだまれ。もう重臣たちとの間で決めたことじゃ」
「お父上もう一度お考え直しを…」
「ええい、めざわりじゃ、退れ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・
その後、劉シンは家族のもとに行きます。
死んで地下の先帝にお目にかかりお詫びすると、奥さんに伝えます。
すると奥さんはこう答えます
「おお、それこそ我が夫。わらわもお供いたします」
最高の奥さんだと思う私は、平成にあっては危険思想でしょう。
それはともかく、ここでお伝えしたいのは、今の日本があるのは先輩方が、並々ならぬ努力を重ねてこられた結果だということです。
特に、私たち日本人の教育水準の高さは、江戸時代からずっと世界有数です。
これといった資源もないこの国が、今日の繁栄を誇ってるのは、すべて人の力です。日本人の知性の力です。
それは、昨日今日で得られるものではありません。何百年も前から、ずっと受け継いできたものです。
それがこの10年20年で崩れ去ろうとしています。
賢くならなくてもいいというのは、日本の先輩方(そして日本を導いてくれた海外の諸先生)に対してあまりにも失礼です。
個人の自由が強調され、自己利益の拡大が肯定される現在でも、日本の知性に対する真摯な姿勢は失ってはなりません。
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大変、勉強しづらい世の中です。
私の思いは、その世の中の土石流の中に打ち込む1本の杭たらんことです。
子どもたちが少しでも勉強に向かえますように。
(追記)
続きの内容でブログを書きました
習慣の獲得(見える化)
受験マネジメント
勉強習慣の獲得(見える化)
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効果:勉強が継続できるようになり、自立・自律した受験生活が送れる。
その結果、親が勉強しろと何度も言わなくてよくなり、親子ともに楽になる。
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様々な問題集が市販されています。
そのキャッチコピーはどれも魅力的です。
・毎日たったの10分の計算トレーニングで偏差値10アップ
・CDを聞くだけで、社会が総復習できる
しかしご存知のとおり、最も難しいのはこれを継続することです。
そこで本日紹介するのが、見える化です。
この見える化。有効なメソッドとして、企業で叫ばれるようになって久しいです。
その方法と効果は、インターネットで検索すれば多くの記事が出てきます。既にご存知の方も多いかも知れません。
例えば、「手帳に夢を書けば、実現できる」といったものが有名です。
受験勉強にあてはめると、
・なぜ受験を志したのか、ノートに書いてみる
・模造紙に志望校や目標偏差値を大きく書いて、家の壁に貼る
・1日のスケジュールとタスクを紙に書きだす
・どうしても暗記できないものを書き出し、トイレに掲示する
・重要な箇所に、「必ず覚える」書いた付箋を貼る
例はいくらでも上がりそうです。
受験戦略の見える化は前回の記事を参照ください。
ここではもう1歩踏み込んで、なぜ見える化するのかまで考えます。
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さっそくの余談になりますが、方法と効果だけわかっていればいいと思われる方も多いと思います。
現代社会は、とにかく効率重視で、方法と効果だけを手に入れて、満足してしまいます。
例えば、なぜそうなるのかはよくわからないけど、スイッチを押せば電気がつきます。
家電製品も大半がそうです。仕組みはよくわからないけど使える。
受験勉強でも、算数でよくありそうです。よくわからないけど、この式からこの式を引くと、求めたい式になる…
このような、仕組みが分からないが使えてしまうものを、ブラックボックスといいます。
見える化も、やり方と効果を知れば、それで目的が達成されます。
しかし、それでは限界がきます。自分で考えて対応ができない、端的に言えば応用ができないのです。
現在、学習指導要領の変更、大学入試の改革が注目されています。明治以来の大改革などと銘打たれています。
それに対応して(若しくは時代の要請に対応して)入試問題に手を加える学校が出てきています。
灘中の問題では、ただ解けるだけでなく、なぜその解法でいいのか説明させる問題が出ると言われています。
つまり、これからの社会では、ブラックボックス的に、
「よぉわからんけど、こうやったら解けん(解ける)ねん」というのでは通用しないのです。
方法と効果だけではなく、なぜそうなるのかまで踏み込む思考の習慣を作っていきましょう。
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なぜ見える化するのか
見える化の本質は、言語化です。
分かりやすく、図で(私も多用します)見える化して説明することはありますが、
あくまで、見える化することの本丸は言語化です。
そして、言語化することによって、私たちは、意識化することができます。
ここでさらに余談に入ります。
単に、見える化を考えるだけなら必要なさそうな、遠回りをすることによって、見える化の本質に迫りたいのです。
意識とはなにか。
私には皆目見当がつきません。
それは、現代科学最大の謎です。
20世紀、人類の関心は本格的に宇宙に向かいました。
そして、よく言われるのが、「宇宙よりもわかっていないものがある。それは深海だ」
そして、その深海よりも身近でもっとわかっていないのが、意識です。
こんな例えも言われます。
16世紀ころ熱心に研究された錬金術。
卑金属から金を作る(そのための賢者の石を作る)試みです。
現在の科学から考えれば、全く的外れな実験をしていたようです。
現在、脳科学が目覚ましい進歩を見せています。
脳のどの分野がどのような働きをしているのか、どの伝達物質がどう作用しているのか、
様々なことが脳科学によって明らかにされています(このあたりはホンマでっかTVでもなじみがありますね)。
しかし、今の方法を積み重ねていくことによって、意識とはなにかを解き明かそうとすることは、16世紀の錬金術くらい的外れなことのようです。
最先端の科学者ほど、今のやり方では無理だと気付いておられるようです。
ただ、それでもどうやらこうではないかと言われていることがあります。
それは、意識とは言語の獲得によって生まれたもののようであるということです。
言葉にすることで、意識は作られる(このあたりの詳細も、いずれ書きます)とすると、自分の人生を意識的にコントロールしたければ、言語化することが鍵になるはずです。
(意識は単なる後追いの認知に過ぎず、人には自由意志はないという意見もありますが、私は否定的です)
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さて、意識とは大変扱いが難しいものです。
・なんでこんなミスをしたんだ。意識が低いのではないか
・意識を入れ替えなさい
・計算ミスしないように、もっと意識して
そういわれても、意識をコントロールするのは難しいのです。
なぜ難しいのか。
それは意識がすぐに消えてしまうからです。
そして、消えてしまった意識を、“意識的に意識する”ことは不可能に近いからです。
意識の力で意識することは、難しそうです。
そこで、見える化するのです。
無意識にいってしまったものを意識に呼び戻す。
見える化された(言語化されたもの)を見て、その視覚情報をもとに、意識を再生するのです。
つまり、意識的に意識するのは難しいので、外部刺激によって意識する。
その外部刺激を用意する行為が、見える化です。
もちろん、五感であればどれでも、意識に上りうるのです。
聞ける化、触れる化、匂える化、味わえる化…
しかし、五感の中で、人は圧倒的に視覚情報に強いです。
さらに視覚情報は、言語化ともなじみやすいです。
そのため、見える化が一番勧められるのでしょう。
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そして、見える化にはその先があります。
見える化して、何度も何度も意識に上らせます。
例えば、ベッドの上の天井に、
「朝起きたら、計算トレーニング。毎日続ければ、○○中学合格できる」
と書かれた紙を貼ります。
こうして、毎日その紙を見て、計算トレーニングを続けます。
そうすると、そのうち無意識に体が机に向かい、計算トレーニングのテキストを開く日が来ます。
これが、習慣の獲得です。習慣は無意識です。
今までは、いかに意識化するかでしたが、ここからはいかに無意識化するかなのです。
人間は習慣の奴隷である ‐ アリストテレス
意識して、毎日机に向かって勉強するのは、精神的に疲れます。
これが、無意識になれば、すごく楽になります。
この習慣の獲得の第一歩が、見える化です。
是非、今の目標・やることを見える化して、
習慣を獲得し、気づけば勉強しているという状態に自分を持って行ってください。
受験戦略(合格戦略)
受験マネジメント
受験戦略(合格戦略)
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効果:日々、塾の宿題や復習がたまっていく状況に終止符が打てる
模試や過去問の対策に時間をかけられるようになる
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受験を考えている方の多くが、おおよその志望校を決めていると思います。
そして、ある程度の時期が来れば、赤本のような過去問題集を購入されるでしょう。
(理想は、「志望校が決まった瞬間に赤本を買う」です。)
そして、赤本を開いてざっくりと、どんな問題が出ているか確認したでしょう。
少し進んでいる人では、傾向と対策を読まれたかもしれません。
また、意識が高く、買ってすぐに1年分解いたという方もいるでしょう。
その分析は確実に合格に近づく行為です。
ところで、その分析は日々の学習に直結していますか?
多くの場合、塾に言われるままに課題をこなしているのではないでしょうか。
そして、次のような状況に陥っている子どもは多いです。
・日々の塾の宿題で手いっぱい。復習までは無理。
・模試の対策に手が回らない。過去の模試のやり直しができていない。
・そろそろ過去問をやりたい。でも、時間が取れない。
・熱血で好きな先生。でもたくさん宿題を出すのでその科目ばかりに時間を取られる。
本来、受験勉強において、勉強の仕方(特に今どの科目・単元に力をかけるべきか)は、100人いれば100通りあります。
しかし、塾で100通りの授業をし、100通りの宿題の出し方をし、100通りの模試を実施してくれることは望めません。
(そうしないところが塾のいいところでもあります。塾(他の生徒)の進度に遅れないように一生懸命勉強することは、大変有益です。)
一方で、それだけでは、苦手単元・科目が放置されたままになったり、もう合格水準に達している単元・科目に時間をかけすぎてしまったりしてしまいます。
(どの科目・単元を今やるべきなのかを明らかにするメソッド、
サブジェクトポートフォリオマネジメントはこちら)
そこで、プロ若しくは親御さんによるマネジメントが必要になります。
そしてその方法が、受験戦略を策定し、実行することです。
それぞれの志望校を分析し、一人ひとりの最高の受験戦略を立てることが本日の狙いです。
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そもそも戦略とはなにか
戦略と区別しなければならないものが、戦術です。
日本で初めて戦略と戦術を明確に区別したのは、司馬遼太郎の小説『花神』の主人公でもある、大村益次郎(村田蔵六)と言われています。
幕末の長州軍を指揮した大村益次郎は、
strategy(戦略)を総帥の術、tactics(戦術)を戦闘の術と訳し、
長州軍の指揮命令系統に組み込んでいました。
大まかな説明にとどめますが、
strategy(戦略)は、全体を捉えて戦を勝利に導く術です。
tactics(戦術)は、局地・各場面において兵を動かし勝利を収める術です。
そして、strategyなしには最終的な勝利はないと言われます。
花神には次のような言葉があります
「タクチーキ(戦術)のみを知ってストラトギー(戦略)を知らざる者は、
ついに国家をあやまつ」
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前回も申し上げましたが、受験は戦とは違います。
もっと誇り高く、楽しいものです。
しかし、その方法論を学ぶことは、受験において最後の合格を掴むのに大変有益です。
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そこで、私たちの受験戦略のために、
まずは、受験戦略と受験戦術を区別します。
受験戦術の代表例が、各問題の解き方です。
算数のある1問をそのように正解に持って行くか。
これはまさに戦術です。
そして、この受験戦術のプロが塾の先生です。
各問題の解き方は、基本的に塾の先生から学ぶことができます。
一方で、受験戦略はただ塾に行っているだけでは得られません。
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その、受験戦略。
具体的なものではありませんが、その要素を1枚にまとめたものを例示します。
このような一番おおきな受験全体戦略に加えて、
例えば、夏休みの戦略・直前期の戦略などもう1段階細かいものを作成する必要もあります。
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その効果は
・確かにこれで合格に向かっていくのだと自信・手ごたえを持ちながら1つ1つの勉強に臨める。
・いつでも自分の目標・動機が見えるので、モチベーション管理に役立つ。
さらに、
・受験戦略があるので、その戦略に基づき、“戦略的に”宿題をやらないという判断もできる。
(戦略がなければただのさぼりです。)
そしてその時間を別の今やるべき科目・単元に向けられます
などが考えられます。
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最後に、この受験戦略はだれが作ってくれるのか。
まず、塾にチューターがいる場合もあるでしょう。
熱心なチューターの場合、ほんとうに一人ひとりの現状を踏まえて作成して下さると思います。
(私は、大学受験の時、河合塾のチューターに本当に助けてもらいました。)
ただし、塾の本質として、チューターと先生(講師)、立場が上なのは先生でしょう。
例えば、思い切って、「理科の宿題はやらなくていい」と言ってくれるようなチューターと出会えたなら、
その人を信じてついていくこともできそうです。
また、教育には愛が必要です(なにを突然という感じもしますが)。
下剋上受験で阿部サダオさんが言っていましたね。
「かおりを愛していたからだ」
「娘を愛しているからです」
チューターが担当する人数は相当なものです。どこまで愛をもって見てくれるかは高望みできません。
そう考えると、親御さんが作成されるのは、効果的であると思います。
また、プロの手助けが必要であれば、郷原行政書士事務所のHPよりお問い合わせください。
郷原行政書士事務所では、最大でも5人までしか担当しません。
そして、一人ひとりに深くかかわった指導・マネジメントをします。
サブジェクトポートフォリオマネジメント
受験マネジメント
サブジェクトポートフォリオマネジメント(SPM)
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効果:合格のために、今やるべきこと・やってはいけないことが見える
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塾に言われるまま、本人の思うままに勉強していると
この夏は、得意科目を伸ばして一気に合格圏へ!
時間のある夏こそ、苦手科目を克服しよう!…って、結局全部?
算数は楽しいからやるけど、
社会は暗記科目でおもんないから、嫌や!
ほんとうによくある話です。
そこで、プロ若しくは親御さんによる受験マネジメントが大切になります。
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サブジェクトポートフォリオマネジメント(SPM)とは
現在の実力(対合格水準)を横軸にとり、合格戦略上の必要度を縦軸にとり、
4つのグループを作ります。
・若手:必要度が高いが、現在の実力が不十分
・エース:必要度が高く、現在の実力は十分
・ベテラン:必要度は低いが、現在の実力は十分
・控え:現在の実力は不十分だが、必要度も低い
そして、自分の現状をこの図の中に書き込みます。
例えば、科目について具体例を書き込みます。
算数・理科で稼いで、国語は最低限の得点で合格する戦略の子で例示すると、
算数:必要度が高いが、現在の実力が不十分
理科:必要度が高く、現在の実力は十分
国語:現在の実力は不十分だが、必要度も低い
とした場合、サブジェクトポートフォリオマネジメントは、
のようになります。
また、同じような分析が、
分野(例えば、生物・地学・物理・化学)や、
単元(例えば、動物・植物・人体)についても行えます。
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では実際にどう分析し、どう活かすか
一言でいうと、
「ベテラン」にかける資源を、「エース」や「若手」に回す
です。
ここでいう資源とは、リソースのことで、
本人のエネルギー、時間、親、教材、塾、家庭教師、お金、など
受験に必要な要素をいいます。
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例えば、
社会が得意で好きな子。
しかし、入試での配点は、算数150国語150理科50社会50。
こう考えると、社会はベテランに位置します。
そして、算数があと一歩必要だ(若手とエースの間)。
ほっておくと、社会が楽しいので、社会の宿題が優先され、他の科目が後回しに。
そこで、マネジメントが必要になります。
社会にかける時間を減らし、その分算数に回します。そして算数をエースに育てるのです。
単元でも例を挙げておきます。
例えば、理科で「太陽と月・天体」が得意、好き。
しかし、志望校では月が過去に1度出ただけ。
今年も出題可能性は低いと言われている(ベテランに位置)。
一方で、「植物」は毎年出題がある。
残念ながら、「植物」は苦手分野だ(若手)
そこで、「太陽と月・天体」は直前メンテナンスに回し、「植物」に資源を回すというマネジメントが必要に。
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各グループの考え方は、
・ベテラン
実力十分。
好きな科目(単元)であることが多いので、ここに時間をかけてしまいがち。
ここにかける資源(特に時間)は必要最低限とする。
そして余った資源を、若手やエースに振り分ける。
ただし、直前メンテナンスは抜かりなく。このグループは本番の安定、心の支えになります。
・エース
入試の合否を左右する。
好きな科目(単元)であることが多い。
今までのように力をかけて、順調に育てていく。
本番では、稼ぎ頭。
・若手
合否決定科目(単元)であり、
それ以上にその学校を受験するか否かを左右するような科目(単元)。
本番までに、最も資源をかけて育てる。
しかし、苦手科目の可能性があるため、意図的に得意科目(単元)に変えていくメソッドが必要。
詳述は後日とするが、モチベーションを高く保ち続けるため、小さなできたを積み重ねることが肝要。
・控え
必要度も実力も低い。もし、受験科目から外せるならそれも検討する。
必須科目であれば、合格最低点を目指す。
そのための戦術が必要(ここでもっともマネジメントが活きる)
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受験生本人はもちろん、親御さんも、
おおよそのイメージは持っていると思います。
理科にもっと時間かけないとなぁ…
歴史をやらないと…
それを見える化することが大切です。
見える化すると、意識にはっきり上ります。
意識が変われば、行動を変えられます。
そこにプロの指導が必要であれば、
受験マネジメントの郷原行政書士事務所にお問い合わせください。
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最後に
お気づきの方もいらっしゃるでしょう。
このサブジェクトポートフォリオマネジメントは、
ボストンコンサルティンググループ(BCG)のプロダクトポートフォリオマネジメント(PPM)の応用です。
受験でよい結果を手にするためには、がむしゃらな努力に加えて、
全体をコントロールするマネジメントが必須です。
人類史において最もマネジメントが研究され、そして実践されたのが、おそらく戦争です。
そして、それが現代社会では企業活動・競争に応用され、さらに進化しています。
受験勉強は決して戦ではありません。
もっと崇高です。
もっと誇り高いものです。
そして、もっと楽しいものです。
ただし、戦や競争のマネジメントから学ぶべき方法論があります。
そして、サブジェクトポートフォリオマネジメントは、
企業競争の専門グループ、BCGのメソッド(PPM)を私が受験勉強に応用したものです。
是非参考にして、合格のために今どこに力をかけるべきか分析し、
限られた時間・労力を有効活用してください。
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本日さりげなく出てきた合格戦略。
これがなければ、マネジメントのしようがありません。
逆に、合格戦略があれば、塾の宿題・復習に追われて目標を・自分を見失うことも少なくなります。
次回は、合格戦略(受験戦略)について書きます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。