成績上昇曲線と頭の中の勉強マップ
受験マネジメント
成績上昇曲線と頭の中の勉強マップ
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効果:復習テストでは点が取れるのに、模試で点が伸びない原因と対策が分かる
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成績上昇曲線とは
結論からお伝えしますと、努力に対して成績上昇は遅れてやってくるということです。
成績が上昇するのには時間がかかります。
グラフを見て頂くとわかるように、
①の部分では、努力(時間)の割に、成績が上昇しません。
しかし、ここであきらめずに勉強を続けると、一気に伸びる時期が来ます(②)。
そして、上昇した成績を直前期にメンテナンスする(③)という流れになれば、合格に近づきます。
このような現象を閾値越えと言います。(②が閾値です。)
ある地点に達すると一気に成果が目に見えるのです。
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では、なぜこのようなことになるのでしょうか?
それは、頭の中に勉強マップ(簡易イメージ下記)が完成するのに時間がかかり、
一方で、勉強マップが完成すれば、成績が安定するからです。
ここで大切なことは、
①頭の中に勉強マップができるように勉強すること
②それまで結果がでなくても辛抱すること
です。
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頭の中の勉強マップ
余談ですが、学問(勉強)の祖(父)と言えば、アリストテレスの名前が挙がると思います。
それは、彼がそれまでのギリシア哲学・科学を整理・分類・体系化したからです。
そのため、プラトンのような独創性のある人からすると、ただ整理しただけの人に映ります。
しかし、この整理・分類・体系化こそが、学問の大本です。
そして、大学の学部レベルまでの勉強(学問)とは、この整理・分類・体系化のことを言います。
即ち、私たち合格を目指す者が行わなければならないことは、
①人類の先輩方が築き上げた学問を知り、
②知ったことを自分の頭の中に、整理・分類・体系化する
ことになります。
このように頭の中に、勉強マップができれば、
入学試験において、どんな問題が出てこようとも、
自分の中の必要な知識を、自由に引き出し解答することができます。
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もう少し具体的にお話しします。
例えば、中学受験において多いのが、算数国語理科社会の中から2~4科の受験となります。
(最近は英語を選択できる学校も増えています。)
算数国語理科社会のマップを一部表示すると以下のようなイメージです。
それぞれの中に分類があり、その中にさらに分類があるという
いわゆる自己相似(フラクタル)のような形になります。
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算数を例にもう少し踏み込みます
例えば、塾で仕事算を習った。
しっかり復習したので、次の塾で行われた復習テストで満点を取った。
続いて、塾でニュートン算を習った。
こちらは少し複雑だったが、家庭教師の先生としっかり勉強したところ、復習テストで満点を取れた。そしてその1か月後の模試。警戒していたニュートン算が出た。
鉛筆は動く。しかし解けない。次第に自分でも何をしているのかわからなくなってしまった。配られた解答を見てみると、すごく簡単に解けそうに見える。もったいないことをした。次はできる…
しかし、ことはそれほど甘いものではありません。
実は、その問題は仕事算で解く問題だったのです。
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この区別が、制限時間のある試験の中で的確に行えるかどうかは、
勉強マップが頭の中にできているかどうかの差です。
もし算数の仕事算とニュートン算の関係が分かっていて、
分水嶺(ここで違いが生まれるというポイント、境目)まで把握できていれば、
①模試でどちらの解き方で攻めるか見当がつきます。
②また、もしニュートン算で攻めてうまくいかなかった場合に、仕事算を試そうと思うことができます。
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区別しなければならないのは、
勉強において、
1問解けたことと頭の中に勉強マップができたことは、
同じ1問が解けたとしても、雲泥の差があるということです。
そして、
復習テストや、範囲が限定されている試験ではある程度の成績が取れるのに、
実力の模試では点が思うように取れないとしたら、
それは勉強マップがまだできていない可能性が高いです。
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それでは、どうすれば勉強マップができるのか。
効果的な学習方法は、
目次勉強法です。
司法試験(今でも日本最難関の試験)でもこの方法が推奨されています。
そのやり方は、
①テキストの目次をコピーして、勉強の際常に机の横に置いておきます。
②そして、ことあるごとに目次を見ます。
これだけです。これだけで、人の頭は勝手に頭の中にマップを作ります。
さらに確実にしたければ、寝る前に
③自分が持っている目次をさーっとみる
ことをお勧めします。
注意点としては、目次の細かいテキストを選ぶことです。
そして、見る時に樹形図(体系化)を意識することです。
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実践するのは、難しいです。
しかし、その効果は大きいです。
実践のお手伝いをすることはできます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
なぜを問うとは何か?
なぜを問うとは何か?
因果関係の正体に迫ります。
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なぜを問う。
「どうして?」「なんで?」
日常でも、よくありますが、それ以上に、
予想していなかったことに遭遇した時に人は、なぜを問うのかも知れません。
恋人から突然別れようと言われたとき
上司から解雇を告げられたとき
おそらく、「どうしてですか?」「なんで?」
と問うのではないでしょうか。
それは、原因を探す行為です。
何か(結果)が生じたときに、そのもととなるもの(原因)を探す。
これは人の脳のくせのようです。
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なぜ‐目的
余談になりますが、
なぜを問うことによって、
原因を探すことのほかに、目的を探す場合もあります。
例えば、
なぜ心臓は動いているのか?
ぱっと思い浮かぶ答えは、
・血液を肺や全身に送るため
でしょうか。
これは、目的を探していることになります。
一方、
・洞結節から発生した電気信号が、電線を伝わり、心臓全体を刺激するから
と答えると、これは原因を探していることになります。
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なぜ風呂上がりに牛乳を飲むとき、腰に手を当てるのか
答えとして、
・腰をのけぞらせるため
とすると、目的を考えています。
この話には余談があります。
牛乳瓶の口のサイズは、一般的な飲み物の飲み口よりも大きく、
そのまま傾けると、飲み口が鼻にあたってしまいます。
そこで、腰をのけぞらせることによって、鼻にあたることなく、
瓶を傾けることを可能にしています。
ここで、腰に手を当てた方が、腰をのけぞらせやすい。
だから、腰に手を当てるのだそうです。
従いまして、
・牛乳瓶の飲み口のサイズが大きいから
と答えると、原因を考えています。
そしてその牛乳瓶のサイズが大きいのはなぜかと考えると、
それはある牛乳瓶のキャップを作っている会社が、そのサイズに統一したから
なのだそうです。
これは、原因でも目的でもなく、ルーツを探しているようなイメージになります。
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ここまで、なぜを問うときに、
原因
目的
ルーツ
など、探しているものが様々あるという話をしました。
このあたりの分類はアリストテレスが行っているものが有名ですね。
それでは、ここからは本丸である、原因を考えていきます。
因果関係
原因と結果の関係を因果関係と言います。
この因果関係、もちろん自然界には存在していません。
周りを見渡しても、因果関係は目に見えません。
単に、出来事と出来事が前後関係を伴って連続しているだけです。
つまり、因果関係とは、完全に人の脳の産物です。
またしても余談になりますが、
自然科学は因果関係を明らかにし、発展してきた側面があります。
例えば、
水を加熱する(原因)
水蒸気が発生する(結果)
単純な例ですが、この中にも因果関係が見えます。
しかし、科学者の中には、これは因果関係ではなく、
単に対応関係をまとめただけであるとおっしゃる方もいます。
自然科学者の中でも、因果関係がなにか意見が分かれるところのようです。
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ストーリーとプロット
さて、この因果関係について、イギリスの小説家の考えを紹介して思考を進めていきます。
そこで挙げられている具体例は、
「王が死んだ。その後、女王が死んだ。」
というものです。
これを彼は、単なるストーリーと言います。
一方で、
「王が死んだ。悲しみのあまり女王も死んだ。」
こうなると、これはプロットであると言います。
女王は、王が死んだ悲しみのために(=原因)死んだ(=結果)。
となり、因果関係がはっきりします。
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そして、この因果関係が見えると、人は安心するのです。
「なるほど。それで自ら死を選んでしまったのか」と、
分かった気になる(分かった)のです。
ここは本丸からそれますが、大変重要です。
人が分かったと言うとき、
それは分かった気になったときなのです。
そして、分かった気になるためには、因果関係が見えることが鍵になっているようなのです。
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一般論との合致
ここから、もう一段思考を深めます。
因果関係が見えるといいましたが、
見えた時とはどのようなときなのでしょうか。
例えば、
魔王が死んだ。
世界に平和が訪れた。
これには因果関係が見える方が多いでしょう。
一方で、
台風が近づいている
世界に平和が訪れた
これには因果関係が見えないと思います。
その違いは、
自分の中にある一般論と合致するかどうかがあります。
即ち、
魔王は、人の世界に魔王軍を送り込んで人を殺したりして世界に混迷をもたらしていそうだ。
そして、その魔王が死ねば、世界は混迷から解放され平和が訪れそうだ。
という一般論を持っている人は、
その自分自身の中にある一般論と合致して、因果関係が見え、
分かった気になることができるのです。
一方で、
台風が近づくと、世界が平和になるような一般論は、
持っていない人が多いので、そこには因果関係がみつかりません。
そのため、「?」となるのです。
さきほどの女王の例でいえば、
背後にある一般論は、
愛する人が死んだとき、その悲しみのあまり自らも死を選ぶ人もいるだろう
といったものでしょう。
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それでは、次のクイズを題材に、今の話をおさらいします。
Q.ある村では、必ず雨が降る雨乞いの儀式があります。それはどのような儀式でしょうか。
いかがでしょうか。
クイズに正解することは重要ではありませんが、
答えは、
雨が降るまで踊り続けるという儀式です。
その村の人にとっては、
雨乞いに儀式をした
雨が降った
ここには因果関係があります。
彼らの中の一般論と合致するからです。
一方で、私たちはそこには因果関係が見えません。
私たちが持っている一般論は、
低気圧=上昇気流が生じている。
空気中の水蒸気が上昇とともに冷やされて氷の粒となる。
氷の粒が大きくなると、重くなり下に落ちる。
落ちる中で、温められて水滴となる。
そのようにして、雨が降る
というものです。
そのため、
台風が来たので、
雨が降った
には因果関係が見えますし、分かった気になることができます。
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これは自然現象の例でした。次は、社会現象の例を挙げます。
志摩半島(三重県)では、真珠の養殖が盛んです。なぜか?
中学受験をした方は懐かしいでしょうか。
三河湾…のり、うなぎ
瀬戸内海…のり、くるまえび、はまち
宇和海…真珠、はまち
などですね。
養殖の地図を一生懸命覚えたという方もいらっしゃるでしょう。
その際、遠浅で比較的波の穏やかな地域で養殖が盛んですといった解説がなされています。
これは、
遠浅で比較的波が穏やか(=原因)なので、
養殖が盛ん(結果)
という因果関係です。
この説明を説得的だと感じる人は、自然科学的なものを信じている人で、
地理的条件によって社会現象が左右されることは一般的にあるだろうという一般論を持っていると言えそうです。
一方、次のような原因(ルーツといった方が正確かも知れません)に説得的だと感じる人もいるでしょう。
それは、
御木本さんが不屈の精神で、真珠の養殖を成功させたのが、鳥羽(志摩半島)だった(=原因)ため、
志摩半島では真珠の養殖が盛んです(=結果)。
これを説得的だと感じる人は、
人の気持ちや情熱によって、産業が生まれ伝統となることがあるといった一般論を持っているのだと思います。
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少し一般論というもののイメージがつかめたでしょうか。
以上をまとめますと、
なぜを問うとは、
原因を探すことであり、それは因果関係を見つけることである。
そして、因果関係がみつかるとは、自分自身の中にある一般論と合致することである。
したがって、なぜを問うとは、自分の中の一般論と合致する事実や出来事(=原因)を探すことである
と、これも一旦ではありますが、結論します。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
なぜ結末(結果)は大事なのか?
なぜ結末(いわゆる結果)は大事なのか?
前回、結果とは何かと思考し、
結果が大事だ!と言われる場面において、
因果関係に着目した“結果”ではなく、
段階に着目した“結末”が求められているのではないかと仮の結論を出しました。
では、なぜ結末が大事だ、結果を出せと言われるのか。
今回の問いは、
なぜ結末(いわゆる結果)は大事なのか?です。
本筋からそれますが、
思考において、そもそも…と考えることは有益であることが多いです。
前提を疑う思考法です。
そもそも結末は大事なのか?
例えば、会社の売上。
売上なんて下がったっていいのではないか…
1つの着眼点として興味をそそられます。
しかし、この問いはペンディング(保留)しておきます。
現実社会で実際に結末が大事とされる(言われる)具体例がたくさん挙がるため、
まずはその具体例から考えていきたいと思います。
・具体例から考える
それでは、結末が大事だ!とされる具体例を考えます。
例えば、
(会社やお店で)売上を上げろ!
(サッカーの試合で)勝て!
という場面が浮かびます。
前回の思考を踏まえて、結末と過程の対応関係を整理しておきます。
売上で考えますと、
売上=結末
日々の仕事=過程
としてよいと思います。
サッカーで考えますと、
勝敗=結末
日々の練習・試合内容=過程
とできそうです。
サッカーの方から考えます。
サッカーで結果が大事だ!と言われるときに求められるのは、結末としての勝利です。
卑近な例と思われるかもしれませんが、
サッカー漫画『ホイッスル』このようなシーンがあります。
ボールをけってるだけで幸せなのに
どうして勝ちたいんだろうね?
と主人公(風祭将)が思考する場面があります。
そこで風祭は次のように独白します。
それぞれいろんな熱(きもち)をボールに託して試合をする
負けたらそこで途絶える
勝てば先につながる熱(きもち)
負けるとそこで途絶えるのですね。
勝ち続けることで今のチームで戦い続けることができる。
同じようなことが会社やお店の場合でも言えそうです。
便宜上、複雑なビジネスシーンを簡略化して考えます。
即ち、売上を上げ続けなければ、会社・お店(=組織)は縮小し、いずれは潰れます。
・途絶えるもの、続くもの
ここで対になっているのが、
負ける・売上が下がる‐跡絶える
勝つ・売上が上がる‐続く
というストーリー(前後関係、つながり)です。
少しこの対概念でとどまり、定義を確認しておきます。
跡絶える
続いているものが尽きる
続く
一つの物・事がきれずにつながる
続くというワードからの連想で、永遠というキーワードを考えてみます。
永遠
無限に近い遠い未来まで時間的持続の際限のないこと
意味から考えても、続くことと永遠とは関連がありそうです。
永遠に続くという言い方がありますが、
意味から考えると、永遠という言葉の中に続くというニュアンスは含まれていそうです。
続いて、続いて、…その先に永遠がある(永遠になる?)という感覚でしょうか。
それとも、続いて、続いて、続いて、(そのあり様即ち永遠)かも知れません。
・まとめ
ここで、今までの思考から、言葉をつぎ足しながら、まとめます。
人が「結論が大事だ」というのは、
結末としての勝ち・売上増加によってチーム・組織が継続すること、
つまり未来へ続いていくことを求めているのであって、
それはその先の永遠への憧れである。
・結末がどちらでもいいとしたら?
次は少し視点を変えます。
仮に、結末はどちらでもよいとしたらどうなるのでしょうか。
例えば、
売上は上がっても下がってもいいよという会社
勝っても負けてもいいよというサッカーの試合
分かりやすいのでサッカーの例から考えます。
まず、このような試合…見ている側は、面白くなさそうです。
どちらのチームも勝つことにこだわって、必死に競い合うからこそ見ている者に興奮を感動を与えられるのだと思います。
そのルーツは、ローマ時代のコロッセオに求められるかもしれません。
決闘においては、勝者のみが生きることを許される。
その極限の状況が、面白いのです(現代人の感覚からすれば、未開・野蛮な印象があるかも知れません)。
また、勝つことにこだわり必死にやることは、試合の当事者にとっても面白いのかもしれません。
困難に挑戦し、それを乗り越えていくことに人は喜びを感じるようプログラムさせているのでしょう。
続いて、会社の例を考えます。
売上は上がっても下がってもいいよと言われた場合、
おそらくは社員(従業員)のモチベーションは上がらず、売上も下がるでしょう。
そこには、仕事をして結果(結末)を出すという喜びもなさそうです。
近年、ブラック企業や社畜、ライフワークバランス、働き方改革といった言葉が声高に叫ばれますが、
本来、人は結果(結末)にこだわり、必死に仕事をすることに喜びを見出す生き物です。
以上2つの例を見てきました。
ここで結末そのものと、結末にこだわることを区別したいと思います。
結末そのものとは、
サッカーでいうと、勝敗です。
会社でいうと、売上の増減です。
そして、結末にこだわることとは、
サッカーでいうと、勝ちを目指して必死に戦うことです。
会社でいうと、売上アップを目指して必死に働くことです。
先月サッカーワールドカップロシア大会が閉幕しました。
日本代表は、決勝トーナメント1回戦でベルギーに敗れ、悲願のベスト8には届きませんでした。
しかし、その戦い様に世界中から称賛の声が上がりました。
結果そのものは負けです。
それでも、結果にこだわったそのあり様が、人の心を動かすのです。
そのような例は枚挙にいとまがありません。
幕末、長岡藩の家老として戊辰戦争・北越戦争を戦った河合継之助。
河合継之助が主人公の小説『峠』について、
きれいにまとめられていますので、詳細はこちらのブログをご覧ください。
http://www.yama-mikasa.com/entry/2017/08/16/%E5%85%AB%E6%9C%88%E5%8D%81%E5%85%AD%E6%97%A5%E5%8D%88%E5%BE%8C%E5%85%AB%E6%99%82%E3%80%81%E6%AD%BB%E5%8E%BB_
戦争は勝たなければなりません。
河合継之助は敗者です。結末そのものは、敗北。
それも城下を火の渦に巻き込んだ罪人という評価すら下されています。
それでも、そのあり様には心を動かされます。私は涙が止まりません。
結果(結末)そのものではない。
これ以上は、道がない。むろん、全藩降伏という道はある。しかしながら、わが長岡藩はそれを望まぬ。
瓦全は、意気ある男子の恥ずるところ。よろしく公論を百年の後に俟って玉砕せんのみ
ちょうど150年後の今を生きる私たちは、河合継之助を、長岡藩士をどう思うのでしょうか。
身は一代、名は万代という言葉があります。
例え、敗れて死のうとも、そのあり様が、名誉が後世に残るのでしょう。
ここで前述のキーワード、永遠が浮かびます。
ある時点での結末そのものではなく、
結末にこだわるその姿勢・あり様が人の心を動かせば、
その名は永遠を生きるのだと。
ここまでくると、勝敗や売上の増減など、どちらでもいいと本当に思えてきます。
さて、問いに対して一旦の結論をします。
なぜ結末が大事なのか?
ここでの答えは、
から、としておきます。
次回は、因果関係について思考します。
なぜを問うこと。
それは原因と結果を考えることです。
Bという問題が起こった。
なぜその問題が起こったか考えて、再発を防ぐ。
よく見かけるシーンです。
この時に考えているのが原因です。
なぜ原因を考えるのか
原因とは何か
原因と結果の間にある因果関係の正体を思考します。
長文にお付き合い下さりありがとうございます。
結果とは何か?
かなり期間があいてしまいました。
現在、司法試験に向けて勉強をしています。法科大学院は卒業していないので、予備試験経由になります。
司法試験を受ける以上、結果(=合格)を出すことは大事です。
ところで、結果を出すことはなぜ大事なのでしょうか?
思考します。
(そんなこと考えずに勉強しろよと、思います。しかし、合格に必要なさそうな無駄な思考をせずにはいられない。それが私なのです。このあたり、業が深いなぁと思います。)
・対義及び類推から考える
結果とは何か?
国語辞典には、
結果
ある物事・行為から生じた状態
とあります。
ところで、何かを考える際、「○○ではない」を考えることが有効と言われます。
では、結果の対義語はなにか。
原因
ある物事や状態をひき起こすもと
とあります。
分かりそうな分からないような、もう少し、関連性のある言葉から考えていきます。
過程
物事の、進行・変化していく途中の段階
対義語はいくつか候補がありそうですが、結末はどうでしょうか。
結末
物事の終わり。最終的な結果
こちらが対義語として一番しっくりきます。
図示します。
このように見比べますと、過程‐結末は、段階に着目した言葉で、
原因‐結果は、因果に着目した言葉であると言えそうです。
ここで簡単に、因果とはなにか検討しておきます。
(こちらの詳細は現在執筆しています)
因果
(仏教で)すべての行為は後の運命を決定するということ
とあります。
そして、
運命
人の意思にかかわらず、身にめぐってくる吉凶禍福
抽象概念だけで思考を進めていくとわかりづらくなってきましたので、今回はこのあたりでとどめておきます。
これらの話から、具体例を考えます。
因果や論理を考える際よく挙がる例、『風が吹けば、桶屋が儲かる』で考えます。
・『風が吹けば、桶屋が儲かる』
風が吹けば、
大風で土ぼこりが立つ
土ぼこりが目に入って、盲人が増える
盲人は三味線を買う(当時の盲人が就ける職に由来)
三味線に使う猫皮が必要になり、ネコが殺される
ネコが減ればネズミが増える
ネズミは桶をかじる
桶の需要が増え、
桶屋が儲かる
いかがでしょうか。知っているよという方も、詳細を初めてみた方もいらっしゃると思います。しかしどなたもなにかの引っ掛かりはあるのではないでしょうか。
ここで抱く違和感は、例えばこんな感じでしょうか。
「風が吹いたからって必ずしも桶屋が儲かるという結末にはならないのではないか」
「桶屋が儲かった原因は風が吹いたなのだろうか」
その違和感をひも解くキーが、論理距離という概念です。
・因果関係と論理距離
確かに、風が吹いたからこそ、桶屋が儲かるという結末になった。
一応の因果関係は肯定されます。
しかし、あまりにも論理距離が遠いのです。
どんなに論理距離が遠くても因果関係を肯定するのであれば、桶屋の主人の母親が、その桶屋を生んだことも、桶屋が儲かった原因になります。
余談になりますが、論理距離の話は、
法律の世界では刑法における因果関係論で特に議論がなされます。
例えば、
男Aが、男Bを殺そうとして銃で撃った。
しかし、銃弾は男Bの小指にかすっただけで、とても死に至るようなケガではなかった。
ところが、男Bは念のため病院に行くといった。
そうして男Bが病院に行ったところ、その病院で大火があり、男Bが死んだ。
このような場合に
男Aが、男Bを殺そうとして(=殺人の故意あり)銃で撃った結果、男Bが死んだといえるか。
つまり、男Aの銃で撃ったという行為(=実行行為)と、男Bの死亡(=結果)の間に因果関係があるといえるか。
が問題となります。
法律の世界では、
条件説、相当因果関係説、因果関係と介在事情などの理論を使って因果関係の問題を処理します。
話を戻します。
原因と結果の距離があまりにも遠すぎるという、論理距離の話をしました。
・単純系と複雑系、社会現象
これに加えて、単純系と複雑系の概念も、因果関係を考える上で、キーになります。
単純系とは、
原因と結果が1本の線で結ばれるような世界です。
一方、複雑系は、
1つの結果に様々な原因があり、またそれらの原因も様々な結果に結びついてるような世界です。
1998年フランス大会で、日本代表を史上初のサッカーワールドカップ出場に導き、2010年には、南アフリカ大会で、日本代表をベスト16に導いた岡田武史さんは、
サッカーを複雑系と捉え、勝利という結果のために、様々な取り組み(=行為、原因)を実施することで知られています。
ビジネスシーンにおいても、複雑系で捉えるマーケティングがよく取り上げられています。
さらに1つの概念として、自然現象と社会現象という分け方も紹介させてください。
単純に分けられるものではありませんが、
人と人によってつくられる集団である社会は、複雑系で捉えられることが多いです。
私たちが暮らす社会は複雑系であり、その論理距離も近いもの遠いもの様々あります。
そうすると、結果が大事だというが、なにが原因で何がその結果なのか判断は難しいと言えそうです。
・結末として捉える
一方、思考の途中で出てきた、過程と結末の方は、幾分捉えやすそうです。
段階の判断については、桶屋の立場から考えると、
桶屋が儲かったことが結末であり、そこまでを過程と捉えることが最も自然です。
また、
よく世間で言われる
「結果を出す」
「結果が大事」
というセリフですが、
ここで言われている「結果」とは、「結末」のことではないかと思うのです。
(結果でありかつ結末でもある場合も多いです)
具体例で考えます。
結果が大事だと言われそうなシーンを考えます。
・売上を上げる
・サッカーの試合で勝つ
どちらも、因果に焦点を当て、原因‐結果関係で捉えると、結果と言えそうです。
一方で、段階に焦点を当て、過程‐結末の関係で捉えると、結末と言えそうです。
そして、
売上を上げろ!と言っている人は、因果を重視しているのか、段階を重視しているのかというと、
段階として最終的に売り上げを上げろということだろうと想像します。
サッカーでも、勝つことが大事ですというときには、「内容はともかく結果が」というように、
段階に焦点が当たっています(言葉自体はkekkaと発音されていますが)。
そこで、結果とは何か?という問いに対して、「結末(=物事の終わり)である」と一旦の結論を下します。
そして、続く思考では、なぜ結末は大事なのか?と問いを立て進めていきます。
長文にお付き合いいただきありがとうございます。
いじめ防止対策推進法第24条(学校の設置者による措置)
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(学校の設置者による措置)
第二十四条 学校の設置者は、前条第二項の規定による報告を受けたときは、必要に応じ、その設置する学校に対し必要な支援を行い、若しくは必要な措置を講ずることを指示し、又は当該報告に係る事案について自ら必要な調査を行うものとする。
【解説】
□ 主体
学校の設置者とは、公立学校にあっては教育委員会となります。
そして、教育委員会では可能な限り14条3項のいじめ対策付属機関が設置されるよう求められていますので、
本条文の主体の代表は、14条3項の付属機関といえます。
前述しましたように、14条3項の付属機関については、日ごろから学校いじめ対策組織と連携しておくことが求められています。
□ 実施事項
23条2項では、学校がいじめの事実の有無の確認をした際には、教育委員会への報告が必要でした。
その報告を受けて、教育委員会がなにをなすのかということです。
明記されているのが以下の内容です。
・対学校 → 支援、指示
・対事案 → 調査
「必要に応じ、」とあるように、これは教育委員会の責務ですが、必ず実施されるものではありません。
教育委員会の裁量が認められているわけですが、この裁量に逸脱・濫用があれば違法となる可能性があります。
いじめ防止対策推進法第23条(いじめに対する措置)4項・6項
いじめ防止対策推進法解説
【条文】
(いじめに対する措置)
第二十三条 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び児童等の保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。
2 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者に報告するものとする。
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
4 学校は、前項の場合において必要があると認めるときは、いじめを行った児童等についていじめを受けた児童等が使用する教室以外の場所において学習を行わせる等いじめを受けた児童等その他の児童等が安心して教育を受けられるようにするために必要な措置を講ずるものとする。
5 学校は、当該学校の教職員が第三項の規定による支援又は指導若しくは助言を行うに当たっては、いじめを受けた児童等の保護者といじめを行った児童等の保護者との間で争いが起きることのないよう、いじめの事案に係る情報をこれらの保護者と共有するための措置その他の必要な措置を講ずるものとする。
6 学校は、いじめが犯罪行為として取り扱われるべきものであると認めるときは所轄警察署と連携してこれに対処するものとし、当該学校に在籍する児童等の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるおそれがあるときは直ちに所轄警察署に通報し、適切に、援助を求めなければならない。
【解説】
[4項]
□ 趣旨
児童等が安心して教育を受けられるための措置とは、具体的には、加害児童等に対する指導としての
「校長室学習」や「図書館学習」などが想定されています。
いじめ防止法では、25条において「懲戒」が、26条において「出席停止措置」が定められているところ、
この前段階として、この別室学習が規定されています。
□ 運用
このような、加害児童に対する措置は、法律の根拠もあり、学校の裁量として問題なく行えることです。
実際に私が経験した事案でも、この別室学習によっていじめが解消されたケースがあります。
加害児童側の教育を受ける権利にも当然配慮をした上で、積極的に本規定が運用されるべきであると考えます。
[6項]
□ 教育機関と警察
元来、日本の教育機関は聖域とされ、市民社会とは違う異国となっていました。
そこに、近年風穴が空けられています。
大津市のいじめ自殺事件の報道では、警察が学校へ乗り込む様子が大きく報道されました。
そして、そのような事案は増えています。
市民社会では、人を殴れば警察が来ます。
その基本ルールがようやく、学校にも適用されようとし始めています。
文科省も以下のような通知を発しています。
1.警察への通報・相談に係る基本的な考え方
(1)学校や教育委員会においていじめる児童生徒に対して必要な教育上の指導を行っているにもかかわらず、その指導により十分な効果を上げることが困難である場合において、その生徒の行為が犯罪行為として取り扱われるべきと認められるときは、被害児童生徒を徹底して守り通すという観点から、学校においてはためらうことなく早期に警察に相談し、警察と連携した対応を取ることが重要。
(2)いじめられている児童生徒の生命、身体又は財産に重大な被害が生じるような場合には、直ちに警察に通報することが必要。
学校においてはためらうことなく早期に警察に相談とあります。
しかし、この実施は学校にとってハードルが高そうです。
そこで、状況によっては保護者が、警察への通報を求めなければなりません。
その際には、当事務所をご活用ください。
引用元
文科省:早期に警察へ相談・通報すべきいじめ事案について(通知)
(別紙1)学校において生じる可能性がある犯罪行為等について:文部科学省
いじめ防止対策推進法第23条(いじめに対する措置)3項
いじめ防止対策推進法解説
【条文】3項のみ
(いじめに対する措置)
第二十三条
3 学校は、前項の規定による事実の確認によりいじめがあったことが確認された場合には、いじめをやめさせ、及びその再発を防止するため、当該学校の複数の教職員によって、心理、福祉等に関する専門的な知識を有する者の協力を得つつ、いじめを受けた児童等又はその保護者に対する支援及びいじめを行った児童等に対する指導又はその保護者に対する助言を継続的に行うものとする。
【解説】
[3項] 被害児童等への支援及び加害児童への指導等
□ 支援の内容
上記イメージにも記したように、支援の中には、2項によるいじめの事実の有無の確認の結果を報告することも含まれます。
この点、いじめ防止対策推進法案に対する附帯決議(平成25年6月19日 衆議院文部科学委員会)に、
四 いじめを受けた児童等の保護者に対する支援を行うに当たっては、必要に応じていじめ事案に関する適切な情報提供が行われるよう努めること。
とあります。
私が、いじめに関する相談を受けている中でも、
学校がきちんと報告してくれないことに最も不安を抱く親御さんは多いです。
学校側としては、最低限法律等で定められた報告義務を果たし、その上で保護者との信頼を構築し、
1日も早くいじめが解決されるような対応が求められます。